ミャンマーの軍事政権によれば、これまでに死者数が3,000人を超えた同国を震源とする大地震。隣国タイでも揺れを観測しましたが、首都バンコクで建設中の高層ビルが崩れ落ちる映像は、大きな衝撃とともにSNS等で世界中に拡散されました。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では、タイで中国が建設を請け負ったビルだけが倒壊した背景を解説。さらに「中国企業の悪しき体質」を紹介した上で、彼らと組むことで生じるリスクを挙げています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:【中国】タイで中国が建設したビルばかりが倒壊した理由
タイ国内で最多の死者数。バンコクで中国が建設するビルだけが倒壊した当然の理由
3月28日にミャンマーで発生した大地震は、タイにも大きな影響を及ぼしました。タイ国内の地震による被害はミャンマーと比べたら少ないほうですが、首都バンコクで建設中の33階建てビルが瞬時に崩壊した映像は、かなりショッキングでした。このビルについて、タイのペートタン首相は、以下のように発言しています。
タイのペートンタン首相は30日、ビルの設計から承認、施工まで全過程を包括的に検討するための専門家調査委員会を構成し1週間以内に報告書を提出するよう指示したと現地英字紙のネーションが報道した。ペートンタン首相は「マグニチュード7.7の地震はある建物を除き多くの建物に何の問題も起こさなかった。バンコクのすべての建物の耐震設計はすでに法律規定がある」と強調した。
● 「他の建物はなんでもないのに中国か建設するビルだけ崩壊した」タイ首相の憤怒
「中国が建設するビルだけが崩壊した」のです。これについて、タイ政府は原因を徹底調査すると言っていますが、報道によれば建築資材に問題があったのかもしれないとのことです。以下、報道を一部引用します。
タイや中国のメディアによると、倒壊したビルはタイ建設大手「イタリアンタイ・デベロップメント」と中国国有建設会社「中鉄十局」の共同企業体が建設を請け負っていた。工事は2020年に始まり、全体の30%まで進んでいたという。中国メディア「財新」は中鉄十局の公式SNSアカウントの情報として、同社が海外で初めて請け負った超高層建築だったと報じた。
タイ・カセサート大工学部のアモーン・ピマンマ教授は「資材の品質が低く、耐震性を十分考慮していなかった可能性がある。耐震基準などの見直しが必要だ」と指摘した。
● 地震で倒壊したバンコクのビル建設計画、タイ政府「資材に問題があった可能性」…調査チーム発足
タイの安全当局者は3月31日、現場の鉄筋を検査したところ、一部が基準を満たしていないことが判明したと発表した。
エーカナット・プロムパン工業相は、鉄筋の供給業者1社が昨年12月の安全テストに合格せず、許可取り消しの可能性があるとして調査委員会を設置すると発表した。ただし、供給業者の名前は明らかにされていない。
CRECとその子会社が死亡事故を巡って非難されるのは、今回が初めてではない。
昨年11月、セルビアでCRECの子会社が建設した鉄道駅の屋根が崩落し、14人が死亡。この事故では手抜き工事疑惑が浮上し、市民の怒りは当局に向けられた。
安い建設資材を使い、浮いた建設費で幹部たちが私利私欲を満たすのは中国企業の常套手段です。質の悪い建材を使うのだから、建設物が脆弱なのは当然です。
この記事の著者・黄文雄さんのメルマガ
あまりにも怪しい中国国営企業「中鉄十局」の動き
過去に同じような事故を起こしている会社にも関わらず、タイの大手建設会社は共同事業を行ったのですから、今回の事故はタイ側の自業自得でもあります。
しかし、今回のような事故が起こってしまってはタイ政府も国民に向けて体裁が悪いため、中国企業を悪者に仕立て上げているようですが、その裏には中国からの投資というアメにタイ政府が飛びついたからかもしれません。
確かに、この「中鉄十局」という中国の国営企業は怪しいことばかりです。例えば、以下のような報道があります。
工事は2020年に始まり、全体の30%まで進んでいたとしています。また、中国メディアの「財新」はこの中国の建設会社が海外で受注した初めての超高層建築ビルだったとも伝えています。ビルが倒壊した後、中国の建設会社の公式SNSからこのビルに関する情報が見られない状態になっていて、削除されたとみられます。
● バンコクで崩壊の建設中のビルは中国とタイの会社が建設 ビル倒壊後中国建設会社のSNSでは関連情報削除か
さらには、こんな報道も。
タイ首都圏警察は、3月28日に発生したミャンマーの大地震の影響で首都バンコクで倒壊した建設中の高層ビルを巡り、中国人の男4人が跡地に不法侵入し、工事の関連書類を持ち出していたことを明らかにした。男らはビルを施工した中国国有ゼネコンとタイ大手建設会社の合弁企業の社員だという。警察は押収した書類を調べ、崩壊原因との関係を調べている。
警察によると、中国人の男ら4人は地震発生翌日の29日、ビルの裏口から侵入し書類を持ち出した。書類は駐車場のコンテナ内にあったという。通報を受けた警察が現場付近で中国人の男を確保。男は建設のプロジェクトディレクターを名乗り、正規の労働許可証やパスポートを所持していたという。
持ち出された書類は建設請負業者や下請け業者に関する文書や一般工事検査通知書など32枚で、警察が押収した。
PBSの報道によると、4人は書類を持ち出した理由について保険金の請求のためと供述している。警察はバンコク知事と連携して押収した書類を検査し、建物の崩壊と関係があるかどうかを調べている。
● タイの倒壊ビル跡、施工企業の中国人が建設書類持ち出し 警察は「崩壊と関係あるか捜査」
SNSから当該ビルの情報を削除したり、こそこそと倒壊現場に忍び込んで書類を盗もうとしたり。怪しい以外の言葉は当てはまりません。
中国企業は、人命よりも私利私欲を満たすことしか考えていないため、何度同じ事故を繰り返しても、そこから学ぶことはありません。タイで倒壊した建設中のビルの中には70人以上の労働者の存在が確認されていますが、生存しているかどうかは不明です。
同じ悲劇を繰り返したくなければ、中国企業と組まないほうが賢明でしょう。
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※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2025年4月2日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込660円)。
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