Googleが廉価版スマートフォンをアメリカ先行で発表しましたが、日本での発売は発表されていない状態になっています。メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』の著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんは、このGoogleの発表について、内容含めて詳しく紹介しています。
Googleが廉価版「Pixel 9a」をアメリカ先行で発表—-日本は未発表。春商戦にはなんとも中途半端なタイミング
グーグルは廉価版スマートフォン「Pixel 9a」を発表した。アメリカでは499ドルという値付けがされている。ただ、グーグルが手がけるMVNOである「Google Fi」のオンラインストアでは「Coming Soon」となっており、値引き額や発売日などの情報提示が一切行われていない。
グーグルの日本法人からは「Pixel 9a」に関するリリースなどもまったく配布されていない状態だ。アメリカのサイトにはFeliCaを搭載したモデルが掲載されているため、日本で発売される可能性が極めて高い。
ただ、ここ数年を振り返ってみると、Pixelシリーズがアメリカで発表される際は、日本法人もほぼ同時のタイミングでリリースを出していたし、何なら、アメリカの公式発表を前にして、国内メディアに情報がもたらされることもあったぐらいだ(実際、事前に日本で情報を知らされるので、わざわざ現地の発表会に行くのが馬鹿らしく思えてくるほど)。
例年の流れを考えると、4~5月にかけて発売されるのだろう。ただ、このタイミングに廉価版を出すのであれば、いっそのこと、2月ぐらいまで前倒しした方が、売り上げを期待できるのではないか。
その点、アップルはiPhone 16eを日本の春商戦に合わせて投入した。iPhoneを担当する幹部がインタビューで「日本市場を意識した」と語っていたが真意は不明である。いずれにしても、春商戦でiPhoneが注目されたのは明らかだ。
iPhone 16eが出たことで、上位モデルとなるiPhone 16シリーズだけでなく、iPhone 15シリーズ、さらに型落ちのiPhone 14シリーズなどが動いた。その点において、アップルは実にしたたかに市場を揺さぶってきたと言えるだろう。
一方でグーグルは、中途半端にアメリカでPixel 9aを発表しただけで、日本市場でのアナウンスは皆無。現時点で、Pixel 9シリーズを購入しようと思ったユーザーであれば「Pixel 9aを待ってみようかな」と足踏みをしてしまうのではないか。
このタイミングで日本で価格が出ていれば「Pixel 9か、Pixel 9aか」の選択もできるだろうが、いまの「日本で出るかもしれない」という中途半端な状態では、判断ができない。
日本市場において、グーグルの日本法人が独自に発表できないとなると、もしかするとキャリアとの調整が終わっていないのかと勘ぐってしまう。
いずれにしても、春商戦も終盤にさしかかるなか、日本市場にとって、Pixel 9は、なんとも間の悪い発表になってしまったのは間違いないだろう。
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