結論は先に言わない…話を聞きたくなるズルい伝え方で「100万回再生」を達成する方法

hirachiさん
 

ショート動画クリエイターにインタビューし、その成功の秘密を探るシリーズ「バズるショート動画の裏メソッド」。今回ご紹介するのは、総フォロワー数20万人を超えるインフルエンサー「ひらち」さん。運用する3つのアカウントすべてで1ヶ月以内に1万フォロワーを突破し、TikTokではバズりにくいとされる語り系の発信で100万回再生を連発しています。「ビジネス向けのプレゼン術」や「100万回再生を量産する極意」といったショート動画で数々のヒットを生み出しているひらちさんですが、実はもともと手取り16万円の生活を送る「仕事ができなかった男」だったという。彼がどのようにしてビジネス系インフルエンサーに成長したのか、その成功の裏側に迫ります。

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プロフィール:ひらち
SNS総フォロワー数22万人を超えるビジネス系インフルエンサー。起業家。会社員時代には工場に勤めるも4年連続左遷、手取り16万円の生活だったが、2018年にSNSを活用した美容事業を副業として開始。10ヶ月でSNS総フォロワー数1.5万人を達成し脱サラ、翌年には年商3000万&SNS総フォロワー数4万人に拡大させ、1年半でセミリタイアを達成。その後SNSマーケティングに特化し、現在では30社以上のSNS運用を手がけるほか、新潟でオフラインの起業塾を運営。著書『TikTokマーケティングの極意』も出版し、起業家としての活動を広げている。

──ひらちさんは現在SNSの総フォロー数が20万人超え、私の周りのビジネスマンや経営者層の方もひらちさんのプレゼンを参考にしているという方も多くいます。元からビジネス系の発信がやりたかったのですか?

実は僕、会社員時代はまったく仕事できないタイプだったんですよ。

──そうなんですか?意外です。

餅を作る工場で働いていたのですが、機械が故障したと思ってちょっと持ち場を離れて戻ってきたら、機械が動いていて1トンぐらいの餅を無駄にしたり。それで営業部に飛ばされて営業してたのですが、取引先の方との会話のレベルが全く合わず報告書すら書けなかったんです。

──それも意外です。頭良さそうに見えるのですが。

ナゾに自信はあったんですよ。なんも実績はないんですけど。でもまったく仕事ができなかったんです。それで事務職に配置されて、社内で3回も左遷されてしまって。

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──そこからどんな転機が訪れるんですか?

なので僕は会社というものに全く馴染めず、自分一人で稼げる力を身につけたいなと思いまして、その時YouTubeで副業の概念を初めて知ったんです。そんなこともわかっていない世間知らずだったんですね僕。

──どんな動画を観ていたのですか?

稼ぎ方とか全く知らなかったので、とりえず「副業」「稼ぎ方」とか調べまくってました。そこで「個人で生きる道-ショウ」という動画に出会いまして。これが世の中に価値を提供してお金をいただくという、その仕組を教えますという内容だったのですが、もうすぐにピンときて気づいたら会いに行ってました。

──そこからどれぐらいで稼げるようになったのですか?

元は美容アカウントをやってまして、10ヶ月で月250万円稼げるようになったんです。

──たった10ヶ月で月250万!すごい才能じゃないですか?

いろいろ挫折を繰り返しながらですけど、順調にフォローも伸びていきましてその後、年商3000万まで行きました。

──なぜいま美容系をやっていないのですか?

美容って人の体質に左右されるんですよ。僕がお伝えしていたのは日常の食べ物とか寝る習慣とかストレス対策なのですが、結局いくら言われても人の体質というのがあるので難しいなと思いまして。そこで自分がいままで美容系の知識もなくてここまでこれたという経験をいかして、自分に知識がなくても仕事を作れるという、それ自体のノウハウを広めようと思ったんです。

──それでビジネス系に転換したのですか。

美容の体質とは違って、ビジネス系だったら努力でなんとかなると思いまして。僕は大学生の時に毎回4、50人の前に立ってプレゼンをしていたので、その経験もいかしながらビジネス系のノウハウを伝えるアカウントに転換していったんです。

──でも仕事がまったくできなかったのに、なぜビジネス系で成功できたのですか?

それこそが僕が一番お伝えしたいことであり、僕が伝えるテクニックを使えば誰でもできるようになっているのでこれから簡単に教えますね。

──ぜひお願いします!

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秘伝1:重要なのは投稿の中身ではなく伝える順番

僕の動画が評価されているのは投稿した情報の中身ではなく、続きが気になるような構成で伝えていることだと思ってるんですよ。

──中身ではないんですか?

これみんな勘違いしているのですが、情報の価値というのは情報の中身ではないんですよ。

──どういうことですか?

どんなことを言うかよりも、どの順番で言うか、これが最も重要なんです。これを最適化しているから価値があるように伝わっているんです。だから僕の動画の中身自体はしょぼいこと言ってるんですよ。

──しょぼくはないですけど(笑)

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僕の動画の結論だけ抽出すると、笑顔が大事だとか、人の心を明るくしようとか、相手のことを考えるのが大事だととか、どれも聞いたことのあるような他愛もない結論なんです。それをあえて伝える順番を変えるだけで、なんか価値を感じるような構成にしてるんです。

──ビジネスの現場では結論から伝えて、それを肉付けしていくというのがセオリーですがそうではないのですか?

大きくは間違っていないですが、僕の場合は始めに結論を言うと飽きられやすいと思います。

──そうなんですか?

例えばモテない人の特徴というタイトルで、結論「笑顔がない人です」と初めに伝えると「でしょうね」って思われてスワイプされちゃう。

──たしかに。

仕事においては結論から言うのは大事なのですが、ショート動画やSNSなどでは、まず観るべき理由を一番最初に言うべきなんです。あなたの人生がこのように変わるからこの動画を観たほうがいいですよと。

──なるほど、動機づけですね。

結論は後ででいいんです。でもこの結論も言い方があって。ありきたりな結論だと秒でスワイプされるので、変化をつけるんですよ。

──例えば?

モテる人の特徴は「笑顔がない人です」とあえて言うんです。

──ええ?どういうことですか?

こういう反応になるじゃないですか(笑)。こう伝えると矛盾が起き、必ずその補足をしないといけなくなってそこに興味が湧いてくるんですよ。

──まんまと術中にハマりました(笑)

モテる人の特徴は笑顔がない、厳密に言うと笑顔を出すタイミングを知っている人です。ずっと笑顔の人は確かに素敵なのですが、ここぞというタイミングで笑顔を出せる人のほうがモテるんですよと。

──そういうことですか。

ではここぞというタイミングがいつだかわかりますか? これには明確な答えがあって実は……ってなると、続きが聞きたくなるじゃないですか?

──流れ完璧ですね。

ではその明確な答えというのはというこういう流れになっていてその仕組を説明していく。すると納得感が生まれてさらにどんどん引き込まれていくんです。その上で「あなたも絶対できるんです」「今日からまずこれをやってみてくださいね」と、最後に気持ちを持ち上げる言葉を投げかけると、「勉強になったな」と感じて次の動画も観たいなって気分になるようにしてます。

──情報の中身より、伝える順番で続きを気にさせるとはこういうことだったんですね。

そうですね。僕は視聴者の感情を高揚させつつ、プラス学びになるような動画を意識しています。

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秘伝2:4つの学習パターンを刺激する

──視聴者の学びになるような構成を意識しているとのことですが、具体的にはどうやっているんですか?

人間には4つの学習パターンがあると言われてまして、例えばコピーライティングを学んでくださいと言われた時に思い浮かぶのはこの4パターンなんですよ。

なぜやらなければいけないのか?
どういう仕組みになっているのか?
具体的には何からやればいいのか?
今からやるなら何をやるのか?

──WHYからはじまって、HOWとWHATに落とし込んでいく感じですね。

そもそもなんでだろ、どういう仕組みになっているのからこのコピーライティングでいいのか、じゃあ具体的にどんなことをやっていけばいいのか、そして今からやるには何から始めればいいのか。この4パターンを刺激するとすべての人の学習パターンが網羅できるんです。そうすることによって全ての人がどれかしらに当てはまるから興味を持ちやすい構成になるんです。

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──理論が確立していますね。この構成をもとに1分以上の動画を増やして滞在時間を伸ばしていくという戦略なのですか?

ユーザーの滞在時間は確かに大事ですが、正確に言うと時間に縛られると失敗します。1分以上にすると滞在時間が伸びるから動画を1分以上とか3分以上の構成にしようとすると絶対失敗します。

──なぜでしょう?

それは結局、スマホの前にいるのって人間なんですよ。無理やり内容を引き伸ばしたりすると、人間はそれがわかってストレスをためてしまいます。だから伝えたい内容は最小時間に伝えるのが重要です。その上で濃い内容だから時間が伸びて1分以上になりました、これが理想なんですよ。

秘伝3:演者力を高める

──ひらちさんの動画は基本的にカメラの前に立って話すというシンプルな作りですが、伝える順番や構成以外に演出としてこだわっていることはあるのでしょうか?

僕の場合は「演者力を高める」ことが大事だと思っています。

──演者力というのはどういうものでしょう?

僕の話し方とか話ししている時の雰囲気、目線、ジェスチャーなど、話し手としての演技力ですね。

──伝える力というか。

そうですね。演者としての伝える力とかジェスチャーとか雰囲気とかがあれば人を惹きつけるんですよ。だから僕は目線の動きとか手の仕草とか立ち位置とかも全て台本に書いてそれを演じているんです。

──全て台本に書かれているんですか?!

そうですね。目を右から左に回すとかまで。要はリアル感を出しているんですよ。普通にやると台本を読んでいるというのがバレるので、今リアルに話しているような感じを出すために全て台本に組み込んでいます。

──まさかそこまでやっているとは。

それだけじゃないですよ。僕の場合はセミナーの時とショート動画のときで話し方のスピードを変えてたりもします。

──どう違うのですか?

ショート動画ではすぐスワイプされるので少し早めに話すようにしてますし、逆にリアルなセミナーなどでは、あえて間をおいたり、声色を変えてゆっくり話ししてたりします。僕は大学生の時に多くの人の前でプレゼンをしていたのですが、その時の経験からこういう場ではゆっくり話したほうが心地よくて伝わりやすいというのを学んだんです。

──場数を踏んでいるんですね。

そういう経験もあって、より興味を引くために意識しているのは、声と感情をリンクさせるということですね。例えば「やめろよ(大きい声で)」と言われるとビクッとなるじゃないですか。これなんですよ。声の大きさとかで感情って無理やり動かすことができるんです。

──そのへんも台本に組み込んでいると。

そうですね。かなり意識していますね。同じ感情、同じ声質で淡々と話すと飽きられやすいんです。みんなこれやっちゃうんですけど。ずっと大きい声で話してもずっと小さい声で話しても飽きられる。

──緩急とメリハリが大事なんですね。

そう。だからこれを意識して声質や声量なども変えていく。そうすることによって、、、ニュアンスが伝わるんですよ。今もあえて注意を引くために沈黙を入れたんです。

──確かに前のめりになりました(笑)

こういう「沈黙」もかなり使えますね。これも台本に組み込んでいます。オリエンタルラジオのあっちゃんは話す時に必ず間をいれるんですよ。そうすると続きが気になるんです。普通1秒無言の空間ってみんな怖がるんですが、聞いてる側からすると前のめりになるんです。

──これが演者力、まさに感情をコントロールしていますね。

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秘伝4:期待値以上を提供する

──話す順番や相手の興味の引き方はわかったのですが、実際の投稿の内容で「いいね!」をもらいやすい内容ってのはあるのでしょうか?

ショート動画を投稿してもまったく見てもらえなかったり、全然「いいね!」がもらえなかったりすることは当然ありますよね。でもそれを変えるのは簡単なんです。

──どうするんですか?

結局ですね「いいね!」をたくさんもらうには、、、うん、なんかこうプラスアルファの行動がいるんですよ。これにも答えがありますよ、はい。

──プラスアルファの行動?

例えば飲食店に行って自分がコーヒーをこぼしたとします。

──はい。

すると店員さんが大丈夫ですか?こぼしたことは気にしないでくださいと心配して、わざわざ新しいコーヒーを持ってきたとします。すごい丁寧な対応をしてくれるんです、この店員さん。すると自分はどう思います?めちゃくちゃ感謝を伝えると思うですよ。こぼしたのは自分なのにここまで懇切丁寧にされると。

──確かにそうなりますね。

これがプラスアルファの行動。お会計の時に店長さんにあの店員さんがよくしてくれたとわざわざ言いたくなりませんか?人って期待値以上のことを提供されるとなにかしたくなるんですよ。これってSNSでも同じだと思っていて。

──あー、なるほど。

モテる人の特徴というテーマから考えうる結論以上のことを提供されると、これいいなって思うんですよ人は。それが保存やコメントにもつながり、フォローとかシェアもされるんです。期待値以上を1ミリでも上回れば、その行動が何かしらの形で帰ってくると思っています。

──今も心のなかで「いいね!」をめちゃ押してます(笑)

実はこれも結論から伝えると「価値を提供しましょう」というだけの話なんです。ただこの結論から言うと当たり前過ぎて興味はわかないですよね?

──そうですね。

だからこれも伝え方の順番なんです。「価値を提供しましょう」なんて当たり前の話なので、まずは具体例を出したり、身近なことに置き換えたり、間をおいて惹きつけたり。実はこのコーヒーの話の流れを振り返ってください、そういう話の構成になって伝えているので。情報の価値というのは情報の中身ではなく、「伝え方」にあるというのがよくわかると思います。

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取材・文:タキバヤシ

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