3人に1人の子どもが1日3度の食事を摂れないという現実
最新の調査では、同じひとり親家庭でも、父子家庭の平均年収が約518万円なのに対して、母子家庭の平均年収は約272万円、もはや「ほぼ2倍」と言ってもいいほどの賃金格差があるのです。これは、男性の多くが正規雇用であるのに対して、女性は非正規雇用が多いという雇用形態の違いだけでなく、女性は正規雇用でも同じ会社の男性社員より平均150万円も年収が低いという性差別による結果です。
先月7月20日から28日にかけて、各地の32支援団体で作るNPO法人「ひとり親家庭サポート団体全国協議会」が、全国47都道府県のひとり親家庭を対象に行なったアンケート調査では、2,104人の有効回答のうち、父子家庭はわずか1.5%、全体の98.5%が母子家庭でした。この回答比率からも「困窮しているのはシングルマザー家庭」だということが見えて来ます。
このアンケート調査では「電気代が高騰しているためエアコンの使用を控えようと思うか」との設問に、半数近い46%が「とても思う」、33%が「思う」、合わせて8割近くが「エアコンの使用を控える」と回答しました。また、ガス代と水道代を節約するために「風呂やシャワーは毎日は使わない」との回答が33%、3世帯に1世帯が「風呂やシャワーを我慢する」という結果になりました。
学校給食がなくなる夏休みの子どもの食事については、「1日3食」が64%、「1日2食」が32%、「1日1食」が2%、3人に1人の子どもが1日3食を食べられないということが分かりました。また「子どもは1日2食で自分は1食」「夏休みは米の消費が増えるので自分のご飯を抜いている」などの個別回答もありました。そして、全体の41%が「高騰しているため米が買えないことがあった」と回答しています。日本の主食であるお米が買えない人が、こんなにいるのです。
子ども食堂の「お手伝い」を通して見えた現実
…そんなわけで、今年で3年目になりますが、あたしは毎週木曜日、近所のお寺が運営している子ども食堂のお手伝いをして来ました。普通は「ボランティア」と言いますが、あたしはこの言葉が嫌いなので「お手伝い」と言っています。食事を提供するのは午前11時から午後5時までの6時間ですが、あたしは調理があるので朝から入っています。
お手伝いを始めた頃は新型コロナ禍だったので、いろいろな規制も多く、食事をしに来る子どもは1日に20~30人程度でした。こちらもあまり1カ所に人を集めたくないので、フードバンクから提供される食料品をダンボールに詰めて希望者に無料配布するフードパントリーをメインにしていました。
それでも、食事をしに来る子どもは少しずつ増え続け、去年の春には1日50人前後になりました。子ども食堂は誰でも自由に食事ができるわけではなく、まずは親と簡単な面談をします。あたしは運営面は担当していないので詳しくは分かりませんが、特定の食材にアレルギーを持っている子ども、持病を持っている子どもがいるので、そういうことをチェックするそうです。
そんな中、去年5月に新型コロナの感染症法上の位置づけが2類から5類に緩和されましたが、これは科学的根拠のない政治的な措置なので、子ども食堂でのあたしたちのマスク着用や手指の消毒は当然のこと、テーブルや食器類の消毒もそれまで通りに続けました。
すると、7月後半になって、突然、申し込み者がバタバタと増え始めたのです。ほぼ全員がシングルマザーで、子どもを連れてお寺にやって来て、子ども食堂に申し込んで行くのです。これもあたしは担当していないので詳しくは分かりませんが、7月の最後の木曜日にお手伝いに行くと、それまでの1.5倍以上、何と80人を超える子どもが食事に来たのです。
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