「うまずして何が女性か」発言の気持ち悪さ。数少ない女性大臣が“女性蔑視”の思考回路を持つニッポン

Kyoto,,Japan,-,October,23:,People,On,A,Platform,In
 

6月2日に行われたメキシコ大統領選で当選を果たし、同国初の女性大統領就任を決めたクラウディア・シェインバウム前メキシコ市長。大統領の座を争ったのは同じく女性の上院議員でした。翻って日本を見れば、政界を含め指導的地位にある女性の割合は極めて低いのが現状です。女性が活躍する国と我が国の違いはどこにあるのでしょうか。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では健康社会学者の河合さんが、「クオータ制」に注目し日本が「女性活躍後進国」である理由を考察。その上で、呆れるほど女性問題に無関心な日本社会に対する率直な感情を綴っています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:女性への無関心の“謎”

プロフィール河合薫かわいかおる
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

女性への無関心の“謎”

女性の大統領が、“また”誕生しました。

クラウディア・シェインバウム氏。メキシコ国立自治大学とアメリカのカリフォルニア大学バークレー校で物理学やエネルギーを学んだ才媛です。博士論文のテーマは、メキシコの公共交通機関におけるエネルギー利用についての分析だとか。

また、2018年から23年まで、女性およびユダヤ系として初めてメキシコシティ市長を務めるなど、政治家としての経験を積んできました。市長時代には、市内の交通渋滞緩和のため、200キロメートルにおよぶ自転車専用レーンの設置、公共交通機関への補助金の増額などさまざまな施策や制度を導入し、科学者政治家としての手腕を発揮しました。

そして、今回の大統領選に挑んだわけですが、対立候補も女性。事実上女性同士の一騎討ちで、野党連合のソチル・ガルベス前上院議員か、シェインバウム氏か?と去年から盛り上がっていたのです。

日本でも2021年の自民党総裁選の時には、野田聖子氏と高市早苗氏が立候補し、初めて見る景色に「日本も変わるかも」と期待が高まりました。が、結局、変わらなかった。むしろ後退というか、悪化したようにさえ思えます。

先日の上川陽子外相の「うまずして何が女性か」発言は、申し訳ないけど気持ち悪かった。紅一点の組織にありがちな、発言とも言えます。

「マスコミが作り上げた失言」との意見も識者たちから出ていましたが、「うむ」と、「何が女性か」をセットで使う思考回路を、女性活躍後進国の数少ない女性大臣がお持ちだという事実には、悲しくなりました。だから日本は変わらないのだよ、と。日本はどんどんと世界に置いてけぼりをくらっている。そう思えてなりません。

この記事の著者・河合薫さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • 「うまずして何が女性か」発言の気持ち悪さ。数少ない女性大臣が“女性蔑視”の思考回路を持つニッポン
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け