認知症のお年寄りが「安心して徘徊できる」街は作れるのか?

 

簡単なことのようで、実際にやってみると、なかなか大変だということがわかります。認知症の方は、一目で認知症と分かるようにしてはいないのです。

年齢や見た目や服装等の情報も、必ずしもその通りではないので、あまり先入観を持つと見逃してしまいます。家族がいない間にいなくなると、服装の情報も正確ではありません。帽子をかぶって出たはずの人が、帽子をなくしてしまっていたり、いつもは杖をついている人が杖をもっていなかったり、ということもあるのです。

そして、ちょっと似ているなと思っても道を歩いている人、公園のベンチに座っている人に、もし違っていたらと思うとなかなか声が掛けにくいのです。実際に、きっとあの人だと思って、そっとみんなで後をつけて声をかけたら違っていたという報告もありました。ですから、狙いをつけて声掛けをするというのではなく、ごく普通に声をかけてひょっとしたら探している本人かもしれないし、そうでなければ、探している人がいることを伝えて、見かけなかったか情報を聞くというぐらいのつもりで、気楽に声掛けできることが大事だと、実感しました。

また、複数で後をつけたり、取り囲むようにすると、相手が恐怖を感じるので、せいぜい2人ぐらいで、横からさりげなく近づき、笑顔で正面から声掛けをしてみる…それは、「こんにちは。暑いですね」「雨が降りそうですね」というようなアイスブレイク的なものでもいいでしょうし、ちょっと道を尋ねて相手の反応を見るということでもいいでしょう。

ベンチに座っていたら、隣に座って、「どちらからいらっしゃったんですか。ここはいい公園ですね~」なんて声をかけてみる。もし、困っている様子があったら、「何かお手伝いできることがありますか~」と声をかけてみるのもいいでしょう。

幅広く声掛けをして対象者でなければ見かけなかったかを聞く、そういうことがたくさんできると見つけられる可能性が高くなると、参加者がみな実感しました。ちょっとした勇気がいりますが、実際にやってみることで、ハードルはぐっと低くなりました。

で、子供も地域の情報はすごく持っているので、子供に聞くのも有効です。子供が、「あっちにいたよ~」と教えてくれたケースもあったようです。

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