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約40万円のラブドールをマネキン代わりに購入…徳島県職員に損害賠償請求へ。「徳島への冒涜」「成人用玩具というだけで不適切とは」と分かれる賛否

徳島県が開いた藍染商品のPRイベントで、マネキンのかわりに成人用玩具が使われていた問題で、住民監査請求の監査委員が県に対し、関係した職員への損害賠償請求を検討するよう勧告したというニュースが、話題となっているようだ。

報道によれば、住民監査請求を行っていたのは徳島県の県議会議員で、成人用玩具の購入により不当な経費が支出され、県に損害を与えたとして、関わった職員に最大38万円を返還させるよう求めていたという。

これを受けて県の監査委員は、公共事業としての倫理性の欠如や地方自治法違反があったなどとする監査結果を公表。その上で県が被った損害額を消費税を含めた41万円余りとし、県に対して関係した職員の責任に応じた損害賠償請求を検討し、厳正に対処するよう勧告したとのことだ。

公用車で大阪まで行き直接購入か?

報道では“成人用玩具”という表現で濁されているこの件だが、マネキン代わりに使用されたということで、いわゆる“ラブドール”あるいは“ダッチワイフ”と一般的に呼ばれる玩具を用いていた模様。

渦中のイベントが行われたのは2017年のことだといい、徳島県の代表的名産品のひとつである「阿波藍」の魅力を発信するため、県の玄関口である徳島阿波おどり空港にて開催。そこでラブドールに藍染の衣装を着せて展示していたというのだ。

SNS上では“マネキン代わりに使われた成人用玩具”そして“40万円前後の価格”という2つのヒントから、高級ラブドールの開発・製造で有名な国内企業「オリエント工業」の名前を挙げる声が続出する事態に。

実際、オリエント工業製のラブドールだったかどうかは、ハッキリとは断定されていないのだが、地元・徳島のローカルメディアによれば、上記イベントが行われた年に、県の男性職員がオリエント工業の大阪事務所まで公用車で赴き、ラブドールを購入していた……といった話も、過去には取沙汰されていたようだ。

徳島から大阪までクルマで行くとなると、淡路島経由で片道2時間半から3時間ほどと、結構な時間がかかるが、それにもかかわらず配送してもらうのではなく、公用車を使って直接買いに行ったとなると、購入前に実物をぜひ見ておきたかったのか、あるいは職場に届くことが憚られたのか……。その意図は分からないが、この県職員が“マネキン代わりのラブドール起用”に相当のこだわりを持っていたことは、少なくとも伺えるところである。

クオリティ向上で用途が多様化するラブドール

とはいえ、普通にマネキンをレンタルしていれば費用は1万2,500円で済んでいたというもあり、それと比べると約40万円というラブドール購入代は、どう考えても高額すぎるといった印象。それだけに今回の“関係職員への損害賠償請求”に対しては、当然であるといった見方が県民を中心に広がっているようで、なかには「お粗末すぎませんか?」「徳島に対する、藍染めに対する冒涜」といった怒りの声も。

だだ、そのいっぽうでは「不恰好なマネキンよりいいと思うけど…」「展示の質が良くなる」といった、ラブドールの起用に理解を示す意見もチラホラ。さらに、今回の件では“倫理性の欠如”だと県の監査委員が判断したわけだが、それに対し「成人用玩具というだけで不適切と判断はできないのでは」と、ラブドールに対するある種の“偏見”を指摘する声も少なくないようだ。

ラブドール、とりわけオリエント工業が手掛けるものに関しては、そのハイクオリティな造形から、今では日本国内のみならず海外にもその熱烈なファンが存在。有限会社ということもあり決算公告をしていないようで、その詳細な業績を窺い知ることはできないものの、先のコロナ禍では売上が急増し、中国での需要もあったという同社社員のからしても、経営は安定しているといったところのよう。

さらに、そんなクオリティの目覚ましい向上により、もはやラブドールは性的な目的での利用のみならず、着せ替えや撮影用の人形としての利用、さらには介護や歯科実習用などとして提供されることもあるということで、その用途がかなり多様化しているというのだ。

今回の監査結果を受けて、徳島県の後藤田正純知事は「就任前の事案ではあるが、任命権者として監査結果を重く受け止め、厳正に対処する」とコメントしており、職員への損害賠償請求は高確率で行われそうな情勢。ただ、あまりにも予算を掛けすぎだという点はともかくとして、旧来のラブドールへのイメージから“倫理性の欠如”と断じられたことの是非に関しては、まだまだ議論を呼びそうといったところだ。

Next: 「公費でラブドール買って何が悪いんだよ」

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