アメリカのIT大手・Googleが、リモートで働く職員の給与を最大25%削減する方針であると報じられ、日本国内でも大きな反響を呼んでいる。
これは、ロイター通信が報じたGoogleの給与計算表から判明したもの。それによると、今後もオフィスに出勤せず在宅勤務の継続を選択した従業員を対象に、給与を削減するとのこと。オフィスがある都市に住む場合は給与は削減されないが、オフィスから離れた生活コストが低い場所に住むほど削減額が多く、最大で25%の給与が削減されるケースもあるという。
このような方針はGoogleだけでなく、FacebookやTwitterなどといった他の企業でも同様の動きがあるという。
「減給」だけ追従されるのを恐れる日本の会社員
その見出しだけをみると、あたかも「リモートワークは減給」といった印象を受けるニュースだが、よく中身をみると決してそうではなく、各社員が住んでいる地域によって差がある家賃や物価に応じた給与の調整といった趣旨のようだ。
日本国内でも大いに話題になっているこのニュースだが、多くの人が心配しているのが、日本の企業は「リモートワークは減給」というところにのみ着目し、賃下げの名目とされるのではという危惧。また昨今のリモート化の動きを見て、早々と地方移住に踏み出してしまった人にとっては、とてもヤバい流れではといった声もあがる。リモートワーク普及による「地方創生」は、政府も後押ししていた施策のはずだが、今回Googleが示した方針をきっかけに、その流れが今以上に鈍化する可能性も大いにありえそうだ。
Googleのテレワーク減給理由はそもそも「従業員の勤務地に基づいて賃金を決定しているため」っぽい。
この辺無視して日本でもテレワーク減給とかならなければよいが…リモートワークを選択したGoogle社員は賃金が大幅カット!? 聞けば納得の理由とは【やじうまWatch】 https://t.co/JrCPF4qVHb
— ばやし@半年育休会社員 (@shirow03) August 12, 2021
Googleが在宅勤務者の給料を下げるニュースに他社も追随してて、今後日本の企業も真似し始めるだろうから、「これからはリモートの時代だから地方移住ヒャッハー!」の人たちは引越したことを後悔し始めるね。
— あつろー (@666_catt) August 12, 2021
これは新しい流れ。
お金減らされるなら、嫌々行くかな。テレワークも非テレワークも、日本はアメリカの流れを少し遅れてやるから。
地方に家買う人は待った方がええかもな。グーグル 在宅勤務で減給も 最大で25% #SmartNews https://t.co/w1eBZnoD1g
— ギリギリのプロ歯医者
(@doYh05eswWENAQr) August 11, 2021
さらにSNS上で盛り上がっているのが「給料が下がるなら長時間かけて通勤する?」「それとも給与が下がってもリモートワークがいい?」という、ある意味で究極の選択だ。
大手で福利厚生しっかりだけど契約社員からなので給料低め在宅ワーク中心(3年後目安に正社員試験ある)
VS
給料は希望くらいだけど対人ありきなので残業確実、通勤電車で45分強
ふぁいっ
— 狐川(こがわ)
@
棺桶(爪先) (@kogawa_tiara) August 7, 2021
これめちゃいいじゃん。福岡や熊本で暮らせる、となったら、給与25%下がっても大喜びでUターンするわ。
グーグル 在宅勤務続ける職員の給与最大25%削減へ(テレビ朝日系(ANN))#Yahooニュースhttps://t.co/JLzhk4uaMs
— アンニュイ (@annui0723) August 12, 2021
千葉の職場は給料悪いし
都内は年収良くても通勤が苦痛すぎる
通勤とかいう無駄な時間を時給換算したら
100万ぐらい収入下げても
近場に就職する方がコスパいい
それなら都内に本社置いてる中間ぐらいの収入の
フルリモート職場を探すべきだわ— まこ
(@MACO_co489226) August 12, 2021
今回のGoogleの件でも、現地社員のなかにはそれまでのリモートワークを諦め、約2時間の通勤を行うことを選択した社員もいると伝えられており、最大25%という給与の削減は働き手からすれば相当に大きい。とはいえ、日々の通勤地獄から解放され、家賃などが安い地方で悠々自適に働くというのもかなりの魅力ということもあり、様々な見解が飛び交う事態に。ただ双方の本音は、やはり「給与そのままでリモートがいい」といったところだろうか。
日本の一部大企業では「リモート推進」の動きも
見方によっては「反リモート」に舵を切ったとも捉えられる今回の件だが、実は日本国内においては、それとは真逆の流れもあるようだ。
今月1日から「リモートワークに関する職場からの距離制限を撤廃」、さらに「出社が必要な場合は距離不問で交通費を全額支給」という新制度を導入したと、最近明らかにしたのがトヨタ自動車。新型コロナウイルスの感染拡大が一向に収まらないなか、一層のリモートワーク推進で出社率を下げたいという狙いとともに、育児や介護との両立支援の一環、といった趣旨もあるようだ。
このような遠隔地での在宅勤務を可能にする取り組みは、カルビー・富士通・JTBといった企業でも進んでいるという。ただ、いずれも福利厚生が手厚そうな限られた大企業ばかりで、中小の企業にも波及するかというと正直なところまったくの望み薄か。
とはいえ、Googleなどの米企業と日本の大企業が「反リモート」と「リモート推進」という風に、真逆の方向性を志向しているのは、なかなか興味深い話。生産性アップにくわえて社員の幸福度がより高くなるのはどちらか、今後の成り行きが大いに気になるところである。
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