「近くて遠い国」などとも言われる韓国に衝撃を与え、今なお論争の渦中にある一冊の本が大きな話題となっています。今回、無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』で編集長の柴田忠男さんが取り上げているのは、元ソウル大教授によるベストセラー。韓国人著者自らが「嘘の国」と言い切る韓国の実態は、想像以上に衝撃的です。
偏屈BOOK案内:李栄薫 編著『反日種族主義 日韓危機の根源』
『反日種族主義 日韓危機の根源』
李栄薫 編著/文藝春秋
この本は韓国で2か月に10万部超のベストセラーとなり、日本語版も発売2週間で20万部を超えた。いまも売れているかどうかは知らないが、近所の比較的大きな書店でも平積みが続いている。その内容は、違和感を覚える記述もいくつかあるものの、殆どが日本では普通に知られていることでちょっと拍子抜け。
YouTubeによる動画配信[李承晩TV]は2018年12月から45回にわたって「危機韓国の根源:反日種族主義」と「日本軍慰安婦問題の真実」という二つのタイトルの連続講義を行なってきた。20世紀前半、日本が韓国を支配した歴史と関連し、今日の韓国人が持つ通念を分析する内容で、公正で厳格な学術的批判であるという。この本はその過程で積み重なった講義ノートを整理したものだ。
ところが、この本をめぐり韓国でいま展開しているのは、朱子学的全体主義勢力と自由民主主義文明勢力の、体制の命運をかけた妥協が不可能な戦いだと後から知った。これは韓国内だけでの話ではなく、この戦いに負けると、日本人も自由、人権、民主主義を失うというとか。そんなこと聞いていないぞ。なんとも迷惑な話である。だいたい、反日種族主義なんて言葉は初めて聞くし。
プロローグが「嘘の国」。嘘をつく国民、嘘をつく政治。2008年の嘘の狂牛病騒動。朴槿恵大統領は結局、女性蔑視の集団心理が作り上げた嘘によって倒されてしまった。国民が嘘を嘘とも思わず、政治が嘘を政争の手段とするようになったのは「この国の嘘つきの学問に一番大きな責任があります。この国の歴史学や社会学は嘘の温床です。この国の大学は嘘の製造工場です」だそうだ。
たとえば、朝鮮総督府が土地調査事業を通し全国の土地の40%を国有地として奪った、という教科書の記述はあきれた作り話だ。植民地朝鮮の米を日本が収奪したという教科書の主張は、無知の所産だった。日帝が戦時に朝鮮人を労務者として動員し、奴隷にしたという主張は悪意の捏造だった。それは日本軍慰安婦問題に至り絶頂に達した。歴史学の大嘘はそれらしき学術で包装された。
嘘をつく文化は司法まで支配するようになった。国の根幹を揺さぶるでたらめな判決が続いている。嘘の学問が嘘の歴史を作り、若い世代を教えて既に60年、その教育を受けて育った世代がついに大法院の裁判官になった。20年前に訴訟を起こした日本製鉄(現・新日鉄住金)問題で、嘘の可能性が高い「基本的事実関係」をなんら検証もせず、原告4人に1億ウォンずつ慰謝料を払えと判決が下った。
「嘘が作られ拡散し、やがて文化となり、政治と司法を支配するに至った過ぎし60年間の精神史を、何と説明したらよいのでしょうか」と著者は嘆く。韓国の民族主義には、自由で独立的な個人という概念がない。民族はそれ自体で一つの集団であり、一つの権威であり、一つの身分である。むしろ種族といったほうが適切である。そして、隣の日本を永遠の仇と捉える敵対感情がある。
「ありとあらゆる嘘が作られ広がるのは、このような集団心性に因るものです。即ち反日種族主義です。これをそのままにしておいては、この国の先進化は不可能です。先進化どころか後進化してしまいます。嘘の文化、政治、学問、裁判はこの国を破滅に追いやることでしょう。そのような危機意識をもってこの本を読んでいただきたいと思います」自由民主主義勢力の健闘を祈る。
編集長 柴田忠男
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