米朝首脳会談は、何が成功なのか?
というわけで、「CVIDの文字がない」「具体的でない」「タイムテーブルがない」というのは、じっくり考えてみると、「的外れな批判」であること、ご理解いただけるでしょう。
では、なぜ米朝首脳会談は、「成功だった」といえるのでしょうか? トランプは、「実質何も与えずに、金に『完全非核化』をやると約束させた」からです。繰り返しますが、トランプは、「制裁解除は非核化の後」といっています。一方、金は、アメリカ大統領に、「完全非核化します」と約束しました。これから彼がアクションを起こさなければ、「ウソつき」であることが世界にバレます。
彼は、「非核化しない原因」を見つけようとしますが、米韓軍事演習は中止になっているし、トランプは人権問題批判もしない。極めて友好的な態度をとっている。
金は今、「制裁解除」という結果を得ることができず、「非核化しない言い訳」がなくなって困っていることでしょう。「ウソつきと批判する前に、まず約束をさせなければならない」
金が得たもの
とはいえ、金が得たものもあります。それは、米朝関係が見かけよくなったことで、制裁が実質ゆるくなるであろうこと。これまでも中国、ロシアは、こっそり北を支援していました。これからは、両国から北への制裁破り支援が増えることでしょう。この点指摘する人も多いです。
しかし、大局的に見ると、「とても重要」とはいえません。重要なのは、「一歩前進したこと」です。金は「完全な非核化」を、トランプは「体制保証」を約束した。これから、ポンぺオさんと北朝鮮が、具体的タイムテーブルを定めていく。トランプは、米韓軍事演習中止を発表し、人権問題批判をやめた。そして、「俺は約束を守っている。おまえはどうなんだ?!!」と迫ることができる。
さて、金は自分がウソつきであることを、証明するのでしょうか? それとも、イヤイヤ非核化のアクションを起こしていくのでしょうか?
世界中の人が、「金が勝った!」「金が勝った!」といいます。しかし、「制裁解除なし」「経済支援なし」で「完全非核化を約束した男」がなぜ「勝った」といえるのでしょうか?