先日、総合スーパー主要8社の17年度決算が出揃いましたが、各社とも苦戦を強いられている状況が数字となって表れました。何が総合スーパーを追い詰めているのでしょうか。今回の無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』では、著者で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんがその原因を探るとともに、各社が進める「苦境打開策」を紹介しています。
総合スーパー(GMS)の苦境が鮮明。ネット通販やドラッグストアが包囲
17年度の総合スーパー(GMS)主要8社の決算が出そろいました。各社苦境が鮮明になっています。
- イオンリテール:2兆1,978億円(前年度比0.6%増)
- イトーヨーカ堂:1兆2,442億円(同0.9%減)
- イズミ:7,298億円(同4.0%増)
- ユニー:7,128億円(同3.9%減/日本基準)
- 平和堂:4,381億円(同0.1%増)
- イズミヤ:2,328億円(同9.7%減)
- イオン九州:2,320億円(同1.8%減)
- イオン北海道:1,866億円(同1.2%増)
主要8社のうち4社が減収でした。残りの4社は増収でしたが、イズミを除き、ほとんどが微増にとどまっています。イズミは4.0%の増収でしたが、熊本地震の被災による休業店舗の営業再開や店舗数の増加が大きく影響したためで、既存店売上高(単体)は0.8%減となっており、1店1店の稼ぐ力は低下しています。
イオンリテール
業界最大手のイオンリテールの業績は厳しい状況にあります。全社売上高は0.6%増とわずかに増収となりましたが、既存店売上高は1.4%減っています。また、322億円の特別損失を計上したことにより純損益は169億円の赤字(前期は73億円の黒字)となりました。
イトーヨーカ堂
業界2位のイトーヨーカ堂も厳しい状況です。全社売上高は0.9%減少しました。既存店売上高は、衣料品の売り上げが大きく落ち込んだことが影響し、0.9%減となりました。また、17年度末の国内店舗数は前年度末から全体の4%にあたる7店舗が減っており店舗数の減少が続いています。そして純損益は58億円の赤字(前年度は137億円の赤字)となりました。不振に陥ったヨーカ堂を立て直すため、親会社のセブン&アイ・ホールディングス(HD)は16年10月に、ヨーカドーなど約40店を閉鎖する構造改革案を発表しています。
なお、ヨーカ堂はイズミと手を組み、共同仕入れや共同出店を行っていくことで経営の効率化を図る考えです。ヨーカ堂は関東地方が地盤の一方、イズミは中国・九州地方を地盤としているため、棲み分けができるとみています。