S市での事例
2015年、私は、離婚後に子供の面接を親権者となった元妻から一方的に拒絶されているという事案で調査を引き受けた。それは、この実父である依頼主が、当時3歳の我が子の背中や腹に痣を見つけ、それを指摘してから拒絶が始まったという。
日本は単独親権を採っているので、子がいる夫婦が離婚すると、どちらかが単独に親権をもつことに原則なっている。つまり、親権を持たぬ側の実の親は、法的には何の権限も持たないことになるのだ。(厳密には私は弁護士などではないので違うかもしれないが、、、)
さて、実際に調べてみると、元妻には同居する若い彼氏がおり、この彼氏がこの子に激しい暴力をふるっていることがわかった。また、近隣住民に話を聞くと、だいたい夜になると、男の子の激しい泣き声がしたり、アパートの前の階段で座り込んでいるなどの様子を目撃していた住民がいた。
聞き込みの際に出会った民生委員さんが色々と動いてくれたようだが、児相は動かず、私の報告を受け相談にいった依頼主は、「死ぬほどの怪我をしたら、動きます」と門前払いを喰らっている。(この対応はよくある対応なのだ)
そこで私が取った活動は、通報のお願いである。特に近隣住民にお願いしてまわった。その甲斐あってか、通報を受けた警察官が一時的に保護するなどの対応があった。ただし、児相は経過観測的な意見で、動きという動きはしなかった。
一方で、依頼主には親権者変更についての申し立てを検討してもらった。
そして、同時に依頼主の両親、つまり、被害幼児からすれば父方の祖父母と会い、親権を取り戻すためにいくら用意出来るか考えてもらった。
結果、どうなったかといえば、虐待をしていることが発覚するかもしれないという圧力と、親権者変更に応じることで、いくらかの解決金が支払われるという交渉を当事者を含めて親族で仕掛けてもらうことで、この被害幼児は父方の祖父母宅で暮らすことになった。
簡単に言えば、母親は彼氏との新たな生活とそれなりの金で子どもを売ったのであり、父方からすれば、我が子を守るためにイかれた大人に身代金をそれまで育ててくれた費用として支払ったのだ。
この場合、正義などクソ食らえ、正規の方法などの余地はなく、手段選ばず子を守る以外猶予はない。
ただ、その後心変わりをしたり追加の金を要求してきても十分に応酬できるように、引越し後、すぐに病院で診察をした。
その様子は、肋骨が浮き出るほど痩せていたし、痣や擦り傷、皮膚炎などを患っていた。何をされていたかを1度だけ聞き取ったが、母親からはネグレクト、彼氏からは殴る蹴る、お風呂に閉じ込められたり、ベランダや部屋の外に追い出されるなどしていた。食事は1日菓子パン1個とか、うまい棒だけという日もあったそうだ。
これについては録音をして反訳し、公正役場に行って確定日付をつけてもらって、依頼主に提出した。