多くのショップが「若いスタッフの教育に悩んでいる」という現実は、現場で働いている方なら「そうそう!」と共感できるのではないでしょうか。無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』の著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんは、そんな悩みを抱えた現場に対して「スタッフの教育に肝心な部分が抜けている」と指摘。さて、その部分とは一体?
やらせる前に意味の理解
昨今の流れなのか何なのかはわかりませんが、今、現場では若年層スタッフの育成に苦しんでいる人が相当に多くいらっしゃいます。
「やらせてみてもなかなか思う通りに動いてくれない」
「店長たちがいる前ではやるんだけど、いざ周りに店長たちがいなくなると、やらなくなってしまう」
こういった悩みを抱えている教育者(マネージャー)が本当に多いんですね。
そんな苦しんでいる方々に話を聞いてみると、確かに、動き方ややり方を教えてはいるのですが、その前の肝心な部分が抜けていることがあります。
やる意味の理解をさせることです。
例えば、接客の中で言いますと、お客様を笑顔でお迎えするという、当たり前のような行動がありますよね。無愛想な表情でお客様対応をしてしまうと、印象も悪く、お客様は気持ちよくサービスを受けることができません。ですから、笑顔でお迎えをするというのは、接客における基本行動だと言えます。
しかし、「笑顔で対応してね」とだけ、教育をしても、そううまく笑顔で対応してくれることはありません。なぜなら、笑顔で対応する意味を理解してもらえていないからです。
「そんなの考えなくてもわかるでしょ?」と思うかもしれませんが、実は今、当たり前と思っていることが当たり前ではなくなっています。理由はいくつもあるのでしょうが、そのひとつに、若年層の人たちが、接客を受け慣れていないことがあります。
過去は、買い物をしようと思ったら、お店へ行って、直接接客を受けて買うということが当たり前でした。その経験をしている人たちは、何も言われなくても、笑顔で対応してくれれば気持ちよく買い物ができることを知っています。
しかし、今はもう時代が違います。
セルフ物販と呼ばれるような、あまり接客をしないタイプの業態もとても多くなりました。何より、ネットの進化により、お店へ行かなくても、買い物ができることが普通になっている時代です。若年層の人たちにとっては、その状況が当たり前なので、まともに接客を受けるような機会がそもそも少ないのです。(誤解を恐れずに言うなら)だから、笑顔で接客されることがどんな効果をもたらすかを、本当に意味で理解している人も減ってきているのですね。
そんな人たちを馬鹿にしているわけでも何でもなく、初めからサービスのあり方自体が違っているのですから、誰が良い、悪いという話でもありません。接客を受ける機会自体が少ないのですから、これは仕方のないことだとも感じます。