すっかり定着した観のある日本酒人気。しかしながら、全国数多ある酒蔵が醸す日本酒の中から、自分に会う一本を探し当てることは容易ではありません。そんな方の間で今人気を集めているのが、「日本酒100種類飲み比べし放題」が売りのクランドサケマーケット。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者でMBAホルダーの青山烈士さんが、同店の戦略・戦術を徹底分析しています。
マッチングビジネス
飲み放題で人気の日本酒専門店を分析します。
● リカー・イノベーションが展開する日本酒専門店「クランドサケマーケット」
戦略ショートストーリー
日本酒が好きな方をターゲットに「独自のビジネスモデル」や「パートナー酒蔵との強固な関係性」に支えられた「日本酒100種類飲み比べし放題」等の強みで差別化しています。
東京で出回っていない多数のこだわりの日本酒を造り手の物語の紹介とともに提供することで、顧客から支持を得ています。
■分析のポイント
マッチングビジネス
「クランドサケマーケット」は日本酒を中心に提供する飲み屋である一方で「マッチングビジネス」という側面も持っています。
どういうことかというと、「クランドサケマーケット」は自分たちが造ったお酒を買って欲しい酒蔵と、自分の好みのお酒を探している顧客を結びつけているということです。
酒蔵は全国に約1,600ヵ所もありまして、売ることや宣伝に力を入れることも難しい小さな事業所が多いようですので、美味しいお酒を造っていても、なかなか消費者に認知されにくいようです。
当たり前ですが、認知されなければ、指名で購入されるようなことはありません。つまり、多くの酒蔵は自分たちのお酒を「知ってもらうこと」と「売ること」に悩みを抱えているということです。
酒蔵にとって、「クランドサケマーケット」は顧客に自分たちの造ったお酒を知ってもらう場であり、試してもらえる場になります。
気に入ってもらえれば、リピーターになってくれるかもしれませんし、ファンがつけば、他の酒店などでも取り扱いが増える可能性が高まります。
さらに、美味しいお酒を造ることに専念できることも酒蔵にとって大きなメリットになりますので、「クランドサケマーケット」の存在は、非常に魅力的だと思います。
また、消費者にとっては、たくさんのお酒と出会うことができる場であり、試すことができる場になります。香りと味わいで分けた日本酒の4タイプに分類されているので特に初心者にとっては選びやすくなっています。
気に入ったお酒と出会うことができればファンとしてリピートしたいと思う方もいるでしょう。
さらに、蔵元の思いを直接聞くことができることも顧客にとっては、魅力的だと思います。蔵元の話を直接聞く機会は、貴重ですからね。
上記のように、酒蔵と顧客の双方にとって魅力的な場を提供していることが「クランドサケマーケット」の最大の特徴だと思います。今後のクランドサケマーケットに注目していきたいです。