以前掲載の「日本から3年かけ台湾にカメラ漂着。落とし主は誰?と現地で話題」でもお伝えしたとおり、台湾では落とし物、特にそれが日本人のものとなると、信じられないほどの親切さで持ち主のもとに届けてくれるケースが多いといいます。台湾出身の評論家・黄文雄さんは自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で、なぜ台湾の人々がそうした行動を取るのか、そしてこのような言わば「他愛もないニュース」がなぜ台湾では新聞等で報道されるのかについて記しています。
※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2018年5月22日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。
【台湾】台湾で日本人への遺失物返還がニュースになる理由
● 日本人客がタクシーにスマホ忘れる、警官が「日本好き」の妹に相談し持ち主発見! ─台湾
台湾で日本人がタクシーに忘れたスマートフォンを、台湾人が連携してあっという間に持ち主を探し出し、本人に返したという記事が話題になっています。5月20日の聯合新聞網は、以下のようなニュースを掲載しました。
5月17日、台南市でタクシーに乗車した日本人男性が車内にスマートフォンを忘れたため、タクシー運転手が台南市警六分局金華派出所に届けましたが、そのスマートフォンのケースには名刺とメモが刺さっていたものの、日本語だったこともあり、担当の警察官・林于翔(リン・ユーシアン)さんも判読できず、ついには日本で仕事をしている妹にLINEで連絡。
メモには電話番号とともに「金曜日17:35、経済(エコノミー)、2人、関西空港」などと書かれていたことが判明、林さんはそこから、日本人はビジネスマンで、「金曜日17:35」は帰国のための飛行機の時間だと推測し、メモにあった電話番号にかけてみると旅行会社だったために、合致する日本人乗客への連絡を依頼しました。
これにより、1時間もたたずに、焦った様子の日本人2人が金華派出所に姿を見せ、無事、スマートフォンが持ち主に戻ったとのことです。
実際の聯合新聞網の記事には、スマートフォンが戻って喜ぶ日本人観光客や、警察官の林さん、そして林さんの妹などの写真まで掲載されています。
ちなみに林さんの妹は台湾で就職活動に失敗、140センチ程度という背の低さが原因だと思っていたそうです。旅行で訪れた日本にハマり、日本で暮らそうと一念発起して日本語を勉強、その後、来日してケータイの販売員に就職したそうです。
台南を訪れる日本人観光客は多く、トラブルで派出所にやってくる日本人に対して、同じように日本にいる妹をときどき即席の通訳にしているとのことです。
じつにのんびりした他愛もない話で、日本人からすると、記事にするほどの価値があるのかと思う人もいるでしょう。しかし、ここには台湾人の琴線に触れる、いくつかの「隠れテーマ」があるのです。