実は私自身、約束破りの効果の検証を試みたことがあります。
新入社員を対象に、入社前から半年後までメンタルヘルスの追跡研究を行なったのです(「新卒社会人のメンタルヘルスの追跡研究」平成14年度修士論文集、東京大学大学院医学系研究科)。
とはいえ、この調査の目的は、五月病の真偽を確かめることなので、自殺を目的変数にしたものではありません。
五月病はホントにあるのか? ホントに一時的な症状なのか? 何が原因で発症するのか? といったR&Qを解明すべく、個人のキャリアへの期待、メンタルヘルス、職場環境、上司部下関係などの要因から分析しました。
その結果、
五月病は新しい環境への不適応で発症するものではなく、事前の期待とのギャップが強く影響する。また、放っておけば治るわけではなく、周りのサポートなど適切な対処を怠ると、慢性的な鬱状態につながる可能性が高い
ことがわかりました。
つまり、今の時期「草木の手入れ」をきちんとしないと、今後のキャリア人生に大きな影響が出てしまうのです。新入社員にとって「上司の手ほどき」は、大きな傘になります。もし、みなさんの職場に、五月病の部下がいたら、傘をさしだしてください。
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※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2018年5月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
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『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』(2018年5月16日号)より一部抜粋