2018年1~3月期の連結決算で、デイリーヤマザキを含む流通部門が6期連続の営業赤字となった山崎製パン。かつてはコンビニ大手3社としのぎを削っていたデイリーヤマザキは、なぜここまでの惨憺たる状況にまで陥ってしまったのでしょうか。今回の無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』では店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんが、さまざまな要素を分析しつつその原因を探っています。
山崎製パン、本業好調もデイリーヤマザキ不調で流通事業が6期連続で営業赤字
食パン「ロイヤルブレッド」や菓子パン「ランチパック」などでおなじみの山崎製パンは4月27日、2018年1~3月期の連結純利益が前年同期比19.6%減の37億円だったと発表しました。
同社は日本最大の製パン会社です。コンビニやスーパーなどで同社の製品を目にしないことはそうないのではないでしょうか。
同社の業績はこれまで順調に推移してきました。2017年12月期は、売上高が前年比1.1%増の1兆531億円と15期連続で増収を達成し、純利益が38.1%増の251億円と2年連続で過去最高益を更新しました。
16年8月末に連結子会社のヤマザキビスケット(元ヤマザキ・ナビスコ)が長きにわたって製造・販売してきたビスケットの「オレオ」やクラッカーの「リッツ」など4商品の製造を終了したことで同社の収益が悪化し山崎製パンの連結収益の押し下げ要因となりましたが、食パンやサンドイッチなどが好調に推移し穴埋めする形で連結決算は増収増益となりました。
しかし、前述した通り18年1~3月期は純利益が大幅に減ってしまいました。
主力の食品事業の売上高は前年同期比2.6%増と悪くはありません。「苺大福」などの和菓子部門が1.8%減と減収でしたが、「ダブルブレッド」などの食パン部門が1.5%増、「ランチパック」などの菓子パン部門が1.5%増、「まるごとバナナ」などの洋菓子部門が2.0%増、調理パン・コメ飯類部門が6.5%増と多くの部門が増収でした。ただ、食品事業の営業利益が前年同期から7億3,000万円減ってしまいました。
食品事業が営業減益となったのは痛手です。しかし、好調だった前年同期の反動減という要素が強く、また、減益額が事業売上高の0.3%程度とごくわずかで誤差の範囲内といえるため、それほど問題視する必要はないといえるでしょう。
問題視すべきは流通事業です。コンビニエンスストアチェーンの「デイリーヤマザキ」「ニューヤマザキデイリーストア」「ヤマザキデイリーストアー」が大部分を占める事業ですが、18年1~3月期の営業損益が5億8,300万円の赤字だったためです。
実は、同社の流通事業は17年12月期まで6期連続で営業赤字が続いています。直近の17年12月期は8億円超の赤字でした。14年12月期には23億円もの赤字を計上しています。好調な食品事業の足を引っ張り続けている状況です。