近頃、電車の「女性専用車両」について抗議する男性と乗客の女性によるトラブルが全国で相次いでいます。女性専用車両に抗議する男性は「逆差別だ」として同車両に乗り込もうとして、車内にいる女性客らともみ合いになるケースが多いようですが、この「怒り」はどこからくるものなのでしょうか? 今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では、著者で健康社会学者の河合薫さんが、女性専用車両に異議を唱える男性らの主張と日本社会の根底にある心理について分析しています。
※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2018年5月2日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。
男性たちが女性専用車両に“怒る”本当の理由
電車の女性専用車両に男性が乗り込み、トラブルになるケースが今年に入ってから相次いでいます。
2月には、通勤で混み合う午前8時過ぎの根津駅(東京メトロ千代田線)で、「女性専用車両に男性が乗っている」と乗客から連絡があり、駅員が駆けつけたところ、男性3人がホーム上で複数の女性に対し、
「男性に対する差別だ!」
「逆差別だ!」
と主張。女性たちと口論になっていました。
トラブルの影響で電車は約15分遅延。女性客と口論する動画は、インターネットに投稿され、瞬く間に拡散。同様の騒ぎは都内だけでなく、関西方面でも発生しています。
こうした動きに反対する市民団体が先月末、男性の乗り込みを明確に禁止する要望書を東京メトロに提出したと毎日新聞が報じました。
ううむ。気持ちがわからなくもありませんが、ここまでやる問題なのかなぁと正直思います。
一方、「専用車両? 逆差別じゃん! すべての男を痴漢と思うな! 人権侵害だ!」というのが、女性専用車両に反対する男性たちの主張です。
確かに、今の日本社会は完全に“女性オリエンテッド”なので、女性たちが必要以上に「権利」を主張している部分はあるかもしれません。
でも、「そこじゃないだろっ?」と。「エネルギーを怒りの先にある、問題の解決に向けようよ」と。
そんな中、朝日新聞が「憲法を考える特集」で、女性専用車両を逆差別と訴える男性たちのインタビュー記事を掲載しました。