歴史上の人物を見ていくと、みんな成功者ばかりではありません。最高の社会的地位を捨て去って、敢えて負ける道を行く者に人の心は惹きつけられます。今回の無料メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』では著者で現役教師の松尾英明さんが、歴史上の人物に関するエピソードを例に出しながら「逆風が吹くことがあっても、自分の信念をもって前向きにチャレンジしていこう」と熱く語りかけています。
負けるとわかっていても、やる
先日の鍵山教師塾での学び。この学習会は、「こうすればこうなる」系のノウハウは全く身につかない。徹底的に話し合い、考え方を身に付ける、ある意味哲学的な学習会である。
講師の執行草舟先生の話で、
「負けるとわかって誰かに味方して、負けた人に、人は魅力を感じる」
という話があり、これがすとんと腑に落ちた。
なるほど、歴史上の人物を見ていくと、成功者ばかりではない。最高の社会的地位を捨て去って、敢えて負ける道を行く者も多い。その中でも特に人気のあるのは、西郷隆盛だろう。土方歳三もそうである。若き日の高杉晋作も、その無茶に従った伊藤博文も、明治維新の志士はみんなそうである。
吉田松陰の有名な言葉、
「かくすれば かくなるものと知りながら やむにやまれぬ大和魂」
の精神である。損するとか失敗するとかは、志の前には二の次なのである。講師の執行先生は、これらの精神に対し「不合理を愛する」と表現している。
やはり、人の心を惹きつけるのは、そういう人物である。後生の人々の心に残るのは、不合理を愛した人達である。逆に、うまく時流に乗ってとんとんといったと伝えられる人物は、意外と不人気である(しかしながら、そういった人達の作った制度に、救われている面も否めない)。
ともすれば「こうすればうまくいく」に飛びつきたくなる。私自身、そういう方法を使うことが実際に多いし、紹介もしている。
しかしである。「スマート」はほめ言葉だが、人間というのは心の底で、泥臭い方が好きという面がある。
「負けるとわかっていても、やる」。その覚悟をもって事に当たれば、こわいことは何もない。新しい職場、新しい学級。逆風が吹くことがあっても、自分の信念をもって前向きにチャレンジしていきたい。
image by: shutterstock.com