どんな人にとっても1日は24時間しかありません。その限られた時間をどのように使うかで、仕事の生産性は大きく変わってきます。では、サラリーマンのように勤務時間が決められている人とは違う小説家などのフリーランスの人たちは、どのように仕事の時間を管理しているのでしょうか。人気作家・村上春樹さんの時間の使い方を読み解くと、長年にわたってベストセラーを生み出し続ける理由が分かる、と語るのは無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』の著者、谷原先生。すべてのビジネスパーソン必見の内容です。
ビジネスパーソンとフリーランスの仕事時間は違う?
こんにちは。弁護士の谷原誠です。
ビジネスパーソンは、スケジューリングにより1日の時間の使い方を管理していますが、その使い方が、職業により異なることは言うまでもありません。
会社員は始業時間と就業時間が決まっており、決まった時間、指示を受けながら仕事をしなければなりません。
一方、フリーランスの方は、納期までに成果物を完成できればいつ仕事をするかは自由です。私も、基本的には時間が自由になる職業です。始業時間と就業時間は、はっきりとは決まっていません。毎日の仕事を自分のスケジューリングで決めていくことができます。
しかし、そこで気づくことがあります。時間が比較的自由になるといっても、どの時間帯に何をするかは、ベストな形が大体決まってくるということです。自由な時間に働いているからといって、必ずしも仕事の時間が不規則になるわけではありません。
フリーランスの見本:村上春樹さんの1日
典型的な「自由業」として多くの人が思いつくのが専業の作家ではないでしょうか。そこで紹介するのが、日本を代表する小説家、村上春樹さんの一日の使い方です。
村上さんの主な仕事は執筆。原稿を書くことは、いつでもどこでもでき、全く時間と場所の制約がありません。
古い小説家のイメージと言えば、書きたいときに書き、気持ちが乗らなければ書かない。そして、締め切り寸前に、編集者から矢の催促。ホテルで缶詰めになって夜遅くまで、灰皿をたばこの吸い殻でいっぱいにしながら書きまくるといったところでしょうか。
しかし村上さんの仕事はそれとは正反対です。
村上さんは、長編小説を書いている時は、毎日朝4時ごろに起きて即、パソコンの前に座り、原稿を書き始め、4~5時間、ひたすらに執筆します。この原稿の量は、かならず十枚程度と決めていて、短くても長くてもいけません。筆が進まなくても書ききり、逆に多く書けそうでもピタッとやめるそうです。
その後、走るか泳ぐか、必ず一時間程度運動。
昼過ぎからは自由な時間として本を読んだり、音楽を聴いたり、レコードを買いにいったり、料理をしたり。そして早く寝て、翌日も早朝から書いています。
規則正しすぎて、若干拍子抜けするほどですね。
しかし、長編小説の執筆は長丁場です。また、一冊、二冊で力尽きる作家も多い中、村上さんは、1979年のデビューから永く活躍し、今や新作に世界中が注目しています。行き当たりばったりの仕事の仕方では、おそらく身体も精神も持たないでしょう。若いころのスタイルがどうだったかはわかりませんが、数十冊の本を書くうち、次第に確立していった執筆方法なのだと思われます。