以前公開した「現実味を帯びてきた、中国「爆買い」による日本製アニメの「終焉」」では、日本のアニメーターの過酷な労働事情と、成長を続ける中国アニメ市場の関係についての現状を紹介し、大きな反響を呼びました。
記事公開から2年半以上が経過した現在も、この状況は変わらず続いているようです。かつて日本のアニメ業界でアニメーターとして働いていたというツイッターユーザーの、えだまめさん(@sleepymame)は4月17日、約10年前の給与明細の画像をツイッター上で公開。
そこに書かれていた賃金(月収)は、私たちが想像していた以上に恐ろしく低いものでした。

※画像の一部を加工しています
月収が5万円に満たないという現実に、多くのツイッターユーザーが衝撃を受けました。18日現在、このツイートは2万近くリツイートされています。
動画1枚の単価が180円という安さにも驚かされますが、これにはさらに驚くべき事実があります。えだまめさんの過去のツイートを引用します。
アニメーターだった頃の話。
動画1枚180円で
キャラが3人描いてあろうが口パクのための線1本だけであろうが
1枚換算でした。
あるとき画面いっぱいのレースの下着をクリンナップしたことがあって
8時間かかりました。時給22.5円です。本当にありがとうございました。— えだまめ (@sleepymame) 2016年12月15日
描く絵の密度に関係なく、1枚あたりの単価が180円だったという信じがたい現状。これが、たった10年前の話です。
では、現在はどうでしょうか。日本でアニメ作品が人気になればなるほど、同じような賃金で働かされているアニメーターが多くいるとすれば、状況は変わらないか、ますます酷くなっていると考えられます。
日本のアニメ市場が活況を呈している裏で、安い賃金のまま働き続けるアニメーターたちの存在を忘れてはならないのではないでしょうか。
えだまめさんは、以下のようなツイートも残しています。
アニメの現場で起きている問題は、
労働環境や雇用形態がどうこうというレベルにはなく
人間の尊厳をどうするのか、とかそういう次元です。— えだまめ (@sleepymame) 2016年12月15日
経営陣は「金にならなくても好きなんだから我慢できて当然」と平気で言い、
新人がつぶれても次々にアニメ業界入ってくる若者でなんとか回っているのがアニメの現場です。— えだまめ (@sleepymame) 2016年12月15日
アニメーターを目指す若者へ。
「たとえ給料少なくてもアニメ業界に入りたい!」という気持ちもわかります。
憧れとはそういうものですから。
しかし、アニメ業界はそこにつけ込んでくることを心にとめておいてください。その憧れをいいことに多くのアニメスタジオがあなたたちから搾取をします。— えだまめ (@sleepymame) 2016年12月15日
ですから、アニメ会社のことをよく調べてください。
・ちゃんと会社員として契約してくれるか。
・福利厚生はきちんとしているか。
・月の給料で一人暮らしが可能か。
最低限のラインに達している会社のみを受けるようにお願いいたします。
それが自分の身を守る術です。— えだまめ (@sleepymame) 2016年12月15日
そしてアニメーターを辞めた、えだまめさんは現在も生き生きと絵を描き続けています。
こんなみじめな給与明細のことなんてどうでもいいからおれの絵を見てくれよ。 pic.twitter.com/RzYr9RLF3D
— えだまめ (@sleepymame) 2018年4月17日
今回の日本のアニメーターの現状について、貴方はどのような感想を持ちましたか? 記事へのリツイートやSNSのコメントで教えてください。
取材協力:えだまめさん(@sleepymame)
● 【参考リンク】えだまめさんのTwitterモーメント「アニメ業界について思うこと」
※本記事内のツイートにつきましては、Twitterのツイート埋め込み機能を利用して掲載させていただいております。