フランスで、民泊が既存の宿泊施設の経営に大打撃を与えています。同国では、2017年の1年間だけで800軒ものホテルが廃業に追い込まれ、さらにアパートなども民泊営業に回すため家賃相場が高騰、契約を更新できない人々が続出しているという事実をご存知でしょうか。これまでも民泊について考察を重ねてきたマンション管理士の廣田信子さんは、自身のメルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』で、今後日本もホテルの客を民泊が奪う時代に入る可能性があると指摘しています。
フランスの惨状も明日は我が身。民泊は日本のホテルを廃業に追い込むのか?
先日、NHK「おはよう日本」でフランスの民泊に関してショックなニュースが報じられました。フランスでは、去年1年で、800軒のホテルが廃業したというのです。過去20年で最多の数です。原因は、民泊の人気が高まり、ホテルの利用客が減少したことです。
ある四つ星ホテルでは、競争に打ち勝つため、5,000万円をかけて改修しましたが、お客は戻らず廃業に追い込まれたといいます。今は何とか営業していても、従業員を解雇せざるを得ないホテルも出ていて、ホテル業界は困難な状況に追い込まれているのです。
年間800軒のホテルの廃業…は、想像を越えていて、ショックでした。これでは、民泊は、宿泊施設不足を補うものではなく、宿泊施設を食いつぶすものです。
以前に、フランスのホテル業界の方の話として、「フランスはAirbnbにやられてしまったが、日本はまだ間に合う、フランスと同じ轍を踏まないでほしい。現在フランスでは1日に1軒のホテルが廃業か倒産に追い込まれている」という記事を読んで、1日1軒というと、年間300~400か…と思いましたが、昨年は、その2倍以上が廃業したというのです。
そして、問題を抱えるのは、ホテル業者だけではないのです。アパートなどの所有者がより利益の上がる民泊営業に物件を回したため、パリ市内の家賃相場は数年で急上昇していきました。民泊物件へ回すために賃貸契約の約25%が契約更新されず、住人は住居を失い高額な物件を探してやむなく賃貸し直すか、郊外へと引っ越しを余儀なくされたといいます。特に観光客が多い地域では、住民が減り閉鎖に陥る学校も出ています。