かねてからヤミ民泊を問題視してきた無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者でマンション管理士の廣田信子さん。昨年末、政府はヤミ民泊敵発に本腰を入れることを「通知」というかたちで表明しましたが、多くの専門家は「海外の事業の取り締まりは困難」と見ているようです。この現状に廣田さんは、「すでに観光地では中国式白タクや中国人経営の土産店が増え、中国に利益を提供する場所と化し、治安も悪化する」とした上で、政府のシェアリングビジネスに対する考え方や取り締まり法に疑問を呈しています。
これってシェアリングビジネスなの?
こんにちは! 廣田信子です。
果たしてヤミ民泊はなくなるのか…いろいろなところで話題になります。
昨年、暮れも押し迫った12月26日に、民泊仲介業者に対して、ヤミ民泊をサイトからなくすようにという趣旨の通知が政府から届いたとニュースになりました。具体的には、仲介サイトに掲載している物件について旅館業の許可番号を調べて適法かどうかを確認し、許可を得ていないヤミ物件ならば、6月15日の住宅宿泊事業法の施行日前にサイトから削除することと言うもので、事業者は違法物件でないことを報告しないと、6月から正式な営業ができないことになります。これは、エアビーアンドビーを始め、国内、中国の事業者26社に送られました。
これを受け、最大手のエアビーアンドビーから民泊オーナーの元に、「国内の物件をエアビーのプラットホームに掲載し続けるには届出番号などの記載が必須です」という一斉メールが届き、いよいよヤミ民泊は摘発か…と、ヤミ民泊オーナーたちに動揺が走ったといいます。
これまで、国が、何で、エアビーのサイトに掲載されているヤミ民泊を黙認してきたのか…というと、エアビー側が、旅館業法はインターネットやシェアリングビジネスを想定しておらず、法律でクリアになっていないと主張していたからだと言います。だったら、民泊宿泊事業法が成立したのですから法律に則ってもらわなければならない訳です。
では、これで、ヤミ民泊は消えるのでしょうか…。
多くは否定的です。日本で法律を作っても、海外事業者は取締が難しいのです。すでに、中国語の電話番号やQRコードがないとサイトを見ることもできないものもあり、今後SNSでの運用も増えるだろうから、実質的に監視は不可能だと言います。
では、日本人で、これまでヤミ民泊で利益を上げてきた人はどうするのでしょうか。6月15日解禁の住宅宿泊事業法に基づく正規の民泊事業は、年間180日以内という営業日数の上限があり、この稼働率では、そもそも正規に登録できたとしても、家賃を払って借りているのでは赤字になってしまうといいます。
さらに、各地方公共団体の条例による上乗せ基準による制限も広がり、また、マンションでは規約での禁止も進んでいます。正規に登録するのも、収益を確保するのも難しい状況で、事業として部屋を所有又は借りている人たちは、民泊宿泊業法の対象外である月単位の賃貸契約であるマンスリーマンション等に業態を変更することを考えているといいます。で、結局、日本人は、民泊を続けられない状況になって、法の網をかいくぐる中国人による違法民泊だけが残り、利益を中国に吸い上げられるだけじゃないか…と怒りの声を耳にします。