刑事訴追の恐れがあるとしてほとんどの質問に口をつぐみ、最後の最後まで安倍総理や昭恵夫人の影響を否定し続けた佐川前国税庁長官。メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』の著者で健康社会学者の河合薫さんは、「不謹慎だがつまらない証人喚問だった」とし、たとえ悪意がなかったとしても自身の立場や影響力を軽く考えていた昭恵夫人の責任は大きいと厳しく批判しています。
※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2018年3月28日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。
“総理夫人”の影響力
「刑事訴追の恐れがある」として証言を拒み続け、「総理や総理夫人の影響があったとは、私は全く考えていません」と完全否定した佐川前国税庁長官の証人喚問が終わりました。
……なんか、つまらなかったですね。
公文書改ざんという民主主義の根幹を揺るがす事件を解明するための証人喚問に対し、不謹慎な感想ではありますが、マジ、つまらなかった。
入省当初から「誰よりも官僚っぽかった」との評判どおり、佐川氏の人間味がち~っとも感じられない、無機質で、まるでロボットのようで。
「証人喚問を見てから“裏返しメガネ”を書こう!」と思っていたので、そのつまらなさに筆が進まず、困っています。
とはいえ「総理夫人の影響が森友問題に全くなかった」というコメントには、疑念を抱かざるを得ません。
指示や直接的な関与はなくとも、「影響がない」と断言できるわけがない。
まさに太田理財局長が、「総理夫人だから記載した」という答弁のとおり、「肩書き」の持つ効果は極めて高いし、そのことを誰もが知っているはずです。