いつも通っている美容室で、今日はたまたまいつもと違うスタッフさんが担当。最初はぎこちない挨拶だったのに、急に自分のプライベートなことまで知っている会話をしてきたら……ちょっとドン引きしますよね? いま常連である自分の情報が何かで共有されたんだなと…。そんな接客をしないで済むよう、無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』の著者で接客販売トレーニング&コンサルティングの専門家である坂本りゅういちさんが、はじめて担当する常連客への正しい対応を教えてくれています。
知らない顧客
多くのショップが、顧客ノートなどお客様の情報を記入できるようなものを作っています。また、スタッフ同士でお客様情報を共有しておくこともあります。これらは、よりお客様を顧客化するための施策です。
これ自体はいいのですが、たまに使い方に問題を感じてしまうことがあります。知らない顧客への対応です。例えば、美容室などで起きやすいパターンです。何度か通っているお店で、初めて担当してもらう人にあたりました。最初はどうやらこちらのことを知らない様子でしたが、シャンプーなどで少し時間が空いてから話し出すと、さも以前から知っていたかのように話してくるのです。どうやら時間が空いたスキに、顧客ノートを見て何度も通っている客だとわかったのでしょう。
このパターン、よくある話なのですが、お客様は自分のことを知らなかったはずだとすぐにわかります。ついさっきまでと対応が急激に変わるので、とても違和感を感じてしまうんですね。私も同じような思いを何度もしてきました。こういう違和感のある使い方をしてしまうと、お客様はなんとなく気持ち悪さを感じます。自分の情報が筒抜けになっていると感じて、以前に話した会話なども漏れているんじゃないかと不安に感じたりもするわけです。
顧客ノートに限った話ではなく、スタッフ同士でのお客様の情報共有はあります。
しかし、だからと言って、全然知らなかったのに、さも知っているかのような態度で接してしまうのは違うと思うのです。「私たちは全員あなたのことを知っていますよ」といいたい気持ちはわかりますが、ぶっちゃけ、お客様がそれを求めているとは限りません。むしろ違和感を覚える方のほうが多いでしょう。
別に知らないなら知らないでいいのです。
もし顧客ノートや他のスタッフとの会話で、以前から通ってくれているお客様だと知ったら、それはそれで、通ってくれているのに知らなかったことをお詫びして、改めてそこからスタートすればOK。知らないのを知っているかのように接して、違和感を感じさせてしまうよりも、よっぽど自然です。
一度も接客したことがないのに、店の顧客だからと、よく知っているフリをしたい気持ちはわかります。でも、それはお客様からすれば、必ずしも気持ちの良いものではありません。もしそうしたいのであれば、「上司からお話を伺ったことがあります」程度で、お店としては知っているんですよと伝える程度で十分です。
そんなことより大事なのは、今、接客している瞬間です。そこでいかに満足させられるかに意識を向けましょう。
今日のおさらいです。
・知らない顧客への知ったフリは、違和感を招く。
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