「暴力、セックス、殺人」など、人間そっくりなアンドロイドに対して何をしても許される体験型アトラクションを舞台にしたアクション・サスペンスドラマ『ウエストワールド』のDVD/Blu-rayが3月21日にリリースされます。
『ウエストワールド』1stシーズンDVD&Blu-ray発売
この作品では、体験型アトラクション「ウエストワールド」で人間の欲望のままにされてきたアンドロイドたちが、ある日を境に自我に目覚め、それまでプログラムにより隷属することしか許されなかった人間に対峙していく姿が描かれています。
注目したいのが、この「ウエストワールド」に遊びにくる人間たちが、アンドロイドに欲情し、時には恋に落ちるという点。ある意味でアンドロイドを、人間の延長線上にとらえているのです。
人間とまったく同じなら不気味の谷を超えられる?
「不気味の谷」現象という言葉があります。人間にきわめて近いロボットに対して、人は不気味さや嫌悪感、恐怖感を抱いてしまうという現象です。そして「不気味の谷」を越え、人間とまったく同じものになると「好感」へと転じるといわれています。
つまり、ドラマ『ウエストワールド』に登場するアンドロイドたちは、不気味の谷を越えたロボットだと言えます。
しかし、現実の世の中にはまだ「人間とまったく同じ」ロボットは存在していません。つまり、「不気味の谷」現象で言われている仮説は、実際のところはまだ分からないのです。
世界をざわつかせたアンドロイドな美女が検証
それならば検証です。もしも人間がアンドロイドとして立っていたら、人はどんな反応をするのか?
そこで目を付けたのが、2017年の秋、インターネットの話題をさらった「アンドロイド美女」ことモデルの高山沙織さんです。
某展示会で彼女は「アンドロイド」としてディスプレイされ、多くの人がアンドロイドだと信じ「リアルすぎる美女アンドロイド」として一躍有名になりました。
「これはリアルすぎる!」
「人間? ロボット?? どっち???」
「美しい。でも、少し怖い」
などなど、日本国内のみならず、海外のアンドロイド愛好者の間でも大騒ぎになりました。
「リアルすぎる美女アンドロイド」だと思われた高山さんなら、今回の「不気味の谷」の検証にピッタリ!
果たしてどういう結果になるでしょうか?
『ウエストワールド』1stシーズンDVD&Blu-ray発売
人間を敢えて「アンドロイド」に寄せると?
検証の前に、高山さんのアンドロイド感をさらに引き立たせるコスチュームを探すことに。
検証当日、あらかじめ用意した3種類のコスチュームを高山さんに試着してもらいました。どれが一番アンドロイドっぽく見えるでしょうか?
● チアガール
さすがは世界のアンドロイド愛好者をうならせた高山さん。表情とたたずまいはアンドロイドそのもの。けれど、無機質な表情とチアガールのヘルシーさのギャップに違和感が。
● メイド
今時の男子なら誰もが一度は妄想したことがあるメイド型アンドロイド。「これはアリか!?」と一瞬思ったものの、ちょっと待て。検証のターゲットに女性や子供も含むことをすっかり忘れてた。
● 近未来
求めていたのはまさにコレ。テカテカ光るビニール生地のツルツルとした素材感が実にスペーシー。高山さんの人間離れしたプロポーションとロボットアクションをさらに引き立ててくれること間違いなし。
試しに、オフィスの入り口のガラスの間仕切りごしに立っていただいたところ……
ブルーがかった照明の効果で近未来感が増幅。とても我々と同じ、血の通った人間とは思えない(高山さんゴメンナサイ)。
イケる。検証はこの衣装で決まり!!
アンドロイドな美女が「こども宇宙科学館」に立つ
コスチュームが決まり、高山さんとスタッフは現場へ移動することに。
今回の検証に協力してくださったのは、神奈川県横浜市磯子区洋光台5-2-1にある「はまぎん こども宇宙科学館」。
プラネタリウムあり、触れる隕石あり、月面と同じく地球の約1/6の重力下でのジャンプを疑似体験できる「月面ジャンプ」あり。他にもキッズ垂涎の展示物が一杯で、ファミリーに人気の体験型科学館なのです。
早速、設営に取り掛かりましょう。
高山さん扮する“おもてなしアンドロイド「SAORI-01」がみなさんを「おもてなし」いたします”というのが来館者向けの設定。エントランスホールにSAORI-01と説明板を設置。周囲を仕切りで囲みます。
SAORI-01は本物のアンドロイドなのか? それともアンドロイドのふりをした人間なのか?
来館者のみなさんはどんな反応を示すのでしょうか?
アンドロイドにも紳士的なのは「好感」の証拠?
検証開始当初は、みなさん、SAORI-01の存在に気付きながらも遠巻きに様子を観察している模様。しかし注目度は十分。
「あれロボット? 違うよね、人間だよね。いや、ロボットなのかな?」
そんな声も聞こえてきます。
そこへ定年退職したお父さんでしょうか?初老の男性がSAORI-01におもむろに近寄って上から下へと眺め回します。
その横にやってきた女子大生らしき2人組が「本物かな?ちょっと触ってみてもらえませんか?」と男性に一言。
対して男性は、「君たちが触ってみなさい。おじさんは、触っちゃいけないでしょ(笑)」と。
ごもっとも。理性的かつ紳士的な男性でよかった、よかった。
でもこのことから男性がSAORI-01を「人間の女性に近い存在」と認識していることがうかがえます。
今回、来場者のみなさんにネタばらしを行うことが、「はまぎん こども宇宙科学館」さんとのお約束だったので、男性と女性二人組に真実を説明。
「すっかりアンドロイドだと思ってたよ。いやぁアンドロイドだったとしても触れないよ~あれだけリアルだと」(男性)
「え、あれって本物のアンドロイドじゃないんですか?まったく疑わなかったです」(女性2人組)
子供の鋭い感性はアンドロイド美女をどう受け止める
そうこうするうちに、館内の見学を済ませた幼稚園児の一群が。SAORI-01を発見して、チラ見する子にガン見する子。リアクションは異なるものの、みんな気になってしかたがない様子。
そして突然、思い掛けない行動に。
「にーんげーんでーすかー?!」
SAORI-01に揃って遠くから問いかける幼稚園児たちのかわいい声がエントランスホールに響きわたります。子どもの感性は本当に鋭い(苦笑)。
それでも無表情のままのSAORI-01、もとい、高山さん。その反応を見た子供たちは「やっぱり人間じゃないよ!」などと信じたようです。
ただ、近づきつつも触ろうとしないのは、マナーがいいのか、それともSAORI-01に対してどこか不気味さを感じているからなのでしょうか?
そうこうするうちに、SAORI-01のまわりに次々と人が集まってきます。
遠足らしき小学生たちはやんややんやの大騒ぎ。SAORI-01が動くたびに「スゲー、動いた、動いた!」と大歓声。
SAORI-01とよい子のみんなのやりとりにエントランスホールはにわかに活気づき、漂う空気感は実にピースフル。アンドロイドと日本の未来を作るであろう子供たちとの交歓。実に美しい光景だなぁ。
ちなみにネタばらしの際に話したり、現場をずっとウォッチしていた感触から、半分以上の来館者がSAORI-01をアンドロイドだと思い、残りは、人間じゃないかと思いながらも、アンドロイドではないとはっきり言い切ることはできなかったようです。人間だと断言していた人は極めて少数でした。
科学館という非日常的な環境からくるマインドセットへの影響があるとはいえ、このテクノロジーが進んだ今、多少リアルすぎたとしても、アンドロイドだと思い込んでしまうのかもしれません。
快く取材協力を引き受けてくれた「はまぎん こども宇宙科学館」さん、本当にありがとうございました。
手を差し伸べることで超えた「不気味の谷」
複数の団体客が帰り、ホールが落ち着きを取り戻した頃、お母さんに連れられた男の子と女の子がやってきました。
女の子に手を差し伸べるSAORI-01。恐る恐るその手を取った女の子は、じーっとSAORI-01の顔を見つめています。
最初は警戒していた女の子も、手を差し伸べられて、握手をしたことで親近感を感じたのか、しばらくその場を離れようとしませんでした。
もしかすると、見た目のリアルさに、人間らしい行動が加わる、この辺に「不気味の谷」を越えるヒントがあるのかもしれません。
【検証結果】
1. 例え人間が演じていても、人はアンドロイドだと思い込んでいたら「不気味の谷」現象は起きる
2. 「不気味の谷」を越えた瞬間、確かに人間はアンドロイドに「好感」を持っていた
『ウエストワールド』1stシーズンDVD&Blu-ray発売
『ウエストワールド』は「不気味の谷」の先にある話
冒頭でも紹介した『ウエストワールド』では、人間とアンドロイドの境目がなくなった世界が描かれています。今回の検証の先にある「不気味の谷」を超えた世界の話です。
見た目や思考、行動に至るまで限りなく人間と近いアンドロイドが自我に目覚めたのなら、いったい人間と何が違うというのでしょうか?
その答えを知りたい場合は、3月21日にDVD/Blu-rayが発売される『ウエストワールド』ファースト・シーズンをご覧ください。
同作品は、テクノロジーが今以上に進展した世界にある体験型アトラクション「ウエストワールド」を舞台に、「ホスト」と呼ばれるAIを搭載した精巧なアンドロイドたちが「ゲスト」である人間をおもてなしをするというお話。
しかもその内容が実にエグい。
「ウエストワールド」のテーマパークとしてのミッションはシンプルで、「ゲストの欲望を全て受け入れる」こと。
「ウエストワールド」では、無法者が闊歩した西部開拓時代の世界が広がっており、そのすべてがアトラクションということで、ゲストは、アンドロイド相手なら現実世界では法に触れるようなことでも、何をしても許されます。
傍若無人な人間たちの一方で、アンドロイドたちはゲストを傷つけないようプログラムされ、人間たちにされるがまま。
そのうえ、役割が終わるとメンテナンスを受け、記憶はリセットされ、再びゲストの相手をさせられる日々が延々と繰り返されます。
そんな生き地獄のような世界で、主人公の美人アンドロイドのドロレス(エヴァン・レイチェル・ウッド)ほか、数体のアンドロイドが自我に目覚め、人間の勝手な欲望に染められた世界は少しずつ狂い始めるという「因果応報」な展開に。
謎解きや過激なアクションといった豊富なエンターテイメント要素だけでなく、「人間とは何なのか?」という哲学的なテーマを観る者に投げかける本作。
製作総指揮に「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」監督のJ.J.エイブラムスと、クリストファー・ノーランの弟で「ダークナイト」「インターステラー」脚本ジョナサン・ノーランを迎え、俳優陣も、アンソニー・ホプキンス、エド・ハリスといった名優が名を連ねます。
初回限定生産版は世界観がつかめる「運営マニュアル」付き
なお、今回発売される初回限定生産分のDVD/Blu-rayのコンプリート・ボックスには、「ウエストワールド運営マニュアル」と題された設定資料集がついてきます。
本編では語られない細かなディテール、世界観のベースとなる部分をつかむことができます。
また、YouTubeの「ワーナー ブラザース 公式チャンネル」では、第一話の冒頭5分が見られる無料動画を公開中。こちらも見どころをつかむのに最適です。
【初回限定生産】ウエストワールド<ファースト・シーズン>DVD コンプリート・ボックス(3枚組/ウエストワールド運営マニュアル付) 【初回限定生産】ウエストワールド<ファースト・シーズン>ブルーレイ コンプリート・ボックス(3枚組/ウエストワールド運営マニュアル付)
先行デジタル配信中
2018年3月21日(水)ブルーレイ・DVDレンタル&発売
発売元:ワーナーブラザース ジャパン
PR:ウエストワールド