高級な宮崎の地鶏を安く提供することで知られている地鶏居酒屋チェーン「塚田農場」が、45ヶ月連続となる既存店の売上減に苦しんでいます。一方で、その打開策として、佐藤可士和氏にプロデュースを依頼した新業態「焼鳥つかだ」で起死回生を狙っていることも報道され、復活への道を手探りで進んでいるようにも見えます。なぜ塚田農場は、ここまで隆盛を極め、また売上をここまで落としてしまったのか。フリー・エディター&ライターでビジネス分野のジャーナリストとして活躍中の長浜淳之介さんが、塚田農場のこれまでの軌跡と、新業態の期待感までも鋭く考察しています。
プロフィール:長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)、『バカ売れ法則大全』(
45ヶ月連続で既存店売上が減少。塚田農場は、新ブランド「焼鳥つかだ」で起死回生となるのか?
地鶏居酒屋チェーン「塚田農場」を展開するエー・ピーカンパニーは、2014年5月から直近の18年1月まで、45ヶ月連続で既存店売上が減っている。既存店とは、オープンから13ヶ月以上経過した店舗を指す。
「塚田農場」はエー・ピーカンパニーの国内店舗数198店のうち149店と、4分の3を占める主力業態である。この「塚田農場」の不振が全社の業績に響いており、これまでは新規出店によって既存店の売上減をカバーして成長を遂げてきたが、昨年7月以降は全店売上高も減少に転じ、経営危機が迫っていた。
今年1月の既存店の売上高は前年同月比9.5%減、客数は9.0%減、客単価0.9%減で、売上と客数は10%近く落ち込み、単価も低落と全くいいところがない。しかしリピート率は55.7%と相変わらず高いことから、太いファンが付いている強みも浮かび上がってくる。
「塚田農場」の店舗では、どこにもないユニークな創作料理を次々に投入するなど、決して無策だったのではなく、太いファンに支えられ、月に1万食売れる「加藤えのき 月見ステーキ」のようなヒット商品も生まれたが、それでも地滑り的な売上減が止まらない状況にある。