いじめの「学校調査」に闇。被害者の協力で探偵が突き止めた真犯人

2018.02.27
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今まで数多くの「いじめ」を解決に導いてきた人気メルマガ『伝説の探偵』の著者で現役の探偵・阿部泰尚(あべ・ひろたか)さん。今回は、クラスで目立っている複数の男女から陰湿ないじめや暴力を受け、さらには加害者による自作自演で保健室を水浸しにしたという「濡れ衣」まで着せられた、とある女子中学生のいじめ被害を解決へと導きます。

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いじめ被害者の「冤罪被害」を調査によって解消する

冒頭

A子さんは運動は苦手であったが、その分学ぶことには長けていたから、成績は塾に通わなくても小学生当時は学内でずば抜けてトップであった。

当時の担任は、中学受験を進めたが、私立に通うお金はないということは、A子さんもわかっていたから、学区の公立校に通うことにしていた。

ところが、その年の年末。

母がフルタイムで正社員として働いていた会社が突如倒産し、給与支払いの遅滞が続いていた影響もあり、母子での暮らしを維持するのが困難になってしまった。

母は仕方なく実家に身を寄せることにしたが、実家との関係はあまり良好なものではなかった。

A子さんからすれば、突然進学先が変わることになる。

中学校に入学して、はじめについたA子さんのあだ名は、「小学生」だった。

A子さんは体格が小さく、母親に似て細身、顔も童顔であるから、私服だと小学4年生くらいに見られてしまう。だからその容姿をからかうように、あだ名がついた。

派手な性格ではなく、見た目も大人しいA子さんでも、同じようなタイプの友人ができた。いつも一緒に通学し、一緒に帰宅するようになった。

ところが夏休みに入る前、突然、野球部の男子から背中に足跡がつくほど飛び蹴りをされて額を切る怪我をした。

背中を足の裏で蹴られたことは、足跡が付いていたことから明らかであったが、男子らは知らないと言い張り、校内で起きたA子さんの不注意による事故で処理された。

縫うほどの怪我ではなかったが、額は切れると血が吹き出るので、トラウマに悩まされることになり、しばらく学校を休むことにした。

2週間ほどして、学校に行ってみると、いつも一緒に行動をしていたクラスメイトの2人が学校に来ていないということがわかった。

スマホを持っていないA子さんは、二人とはメールでやり取りしていたが、学校を休んでいるとは知らなかった。

この日から、A子さんは誹謗中傷と無視、「死ねブスという手紙を机に入れられたりするようになった。また、背後に誰かがいると、恐怖とまではいかないが、不安になっている自分がいることに気がついた。気分が悪くなり、保健室にいって横にならせてもらうが、派遣社員として隣市で働く母と連絡がつかないということで、家に帰ることはできなかった。

養護教諭に相談しようかとも思ったが、しばらくすると、どこかへ行ってしまい、保健室には自分しかいない状態になっていた。横になり、ウトウトとしていると突然カーテンの上から水をかけられた。漂白剤のような鼻に付く臭いが漂い、紺色の制服のスカートの色が抜けていくのが目に飛び込んできた。パニックになり、保健室から飛び出した。

校舎を出るところで、学校職員に声をかけられ、職員室へ連れていかれた。

保健室が水浸しで異臭騒ぎになり、本来はその被害者であるA子さんは事件を起こした犯人として個別面談と言う名の取り調べにあった。仕事を早退させてもらったA子さんの母は、A子さんを迎えに行ったが、そこで、我が子が犯人扱いされていることに驚いた。

担任と教頭は、A子さんが犯行を認めたとして、保健室の掃除とシーツなどの弁償を求めた。

相談は内部からであった

その実、私に当日連絡があったのはこの学校の教職員からであった。

”「いじめと探偵」を読んで電話いたしました。今すぐ相談はできますか?“

電話を受けたスタッフは、何かの取材の相談かと思い、私のいる部屋へ電話をつないだのだ。

私は当事者と話すことを希望したが、それは難しいというので、後ほどでもいいのですぐに当事者かその保護者に連絡するように連絡先を渡して欲しいと伝えた。

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