不登校児が2.5倍に急増、社会難民化する20万人の欠席者たち

河合薫
 

増加傾向にあるという不登校の児童・生徒数。フリースクールなどは増えつつありますが、不登校をきっかけに高校進学が困難になり、仕事に就けず「社会難民」になるケースが相次いでいます。そんな子どもたちを救おうと新たに始まった「クラスジャパンプロジェクト」。一体どんなものなのか、このプロジェクトに協力しているというメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』の著者で健康社会学者の河合薫さんが紹介しています。

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2018年2月14日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

“社会難民化”する不登校児20万人のリアル

文部科学省の平成28年度の調査によりますと、小・中学生の長期欠席している児童・生徒20万7600人に達していることが明らかになりました。

そのうち不登校者数は13万人。さらに出席日数の半分にあたる90日以上の長期欠席者は7万2千人です。

児童・生徒の不登校者の数は、平成5年以降増加傾向にあり、小学生で全体の0.17%だったのが0.42%と2.5倍増、中学生は1.24%から2.83%と2.3倍増えています。

なぜ、こんなにも不登校児が増えてしまったのか?

残念ながら原因は明らかになっていません。

ひょっとすると昔から「学校に行きたくない子ども」はいたのに、“不登校”という言葉が一般的ではなかったので、学校に行くしかなかっただけかもしれませんし、少子化の影響で、子への親のケアが手厚くなり「過保護」になった可能性もある。さらにはフリースクールなどが広がり、「学校だけが学びの場ではない」という認識が広がっているのかもしれません。

ただ、不登校になる主な理由はアンケートで明かになっていて、「本人の情緒的問題・無気力」「人間関係」「学業の不振」が、きっかけであることがわかっているのです(平成25年度調査)。

不登校はただ単に「学校に行かない」あるいは「行けない」という問題にとどまりません。

小中は義務教育なので、出席日数が足りなくても、学業が追いつていなくても卒業できる。しかしながら、内申点がつかないので高校への進学が難しいのです。

自尊心は低下し、就職もできず(あるいはせず)、ひきこもる、仕事をしないなど、社会難民化する可能性が高いのが現状です。

しかも、不登校者13万人のうち、何のサポートも受けてない子どもは、全体の86.5%。人数にすると11万2450人です。

学校の先生は先生で、コミットしたくても多忙すぎて満足なケアを講じられず、お父さん、お母さんたちも疲弊し、「自分が悪いのではないか?」と自責の念にかられています。

子どもの不登校がきっかけで、夫婦での揉め事が増え、家族が壊れてしまうケースも少なくありません。

そこでそういった子供たちを「学校に復帰させよう!」と、大人たちが立ち上がりました。

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