「キャリアアップやスキルを上げるためにはどうすればいいのか」、これは多くの方が日々悩んでいることではないでしょうか。ビジネス書を読んだりセミナーに参加してもなんだかよくわからない…そんな方のために、人気メルマガ『決算が読めるようになるノート』の著者・シバタナオキさんから、最も簡単なキャリアアップとスキルを上げる方法をお聞きしました。
プロフィール:シバタ ナオキ
SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。
シバタさんが伝授する最も簡単なキャリアアップ
——シバタさんの有料メルマガは、キャリアアップを目指している若者にも人気がありますよね。以前「キャリアアップをするためにはスキルと信用を上げていくしかない」というお話をされていました。でも、自分のスキルをどうやって上げればいいのかと悩んでいる人も多いと思いますし、組織としても成長できないと感じている企業もあるはずです。キャリアアップの具体的な方法はどんなものがあるのでしょうか。
シバタ:まず「信用」に関して言えば、これは人間関係にも関わる話なので、いろんなやり方があると思うんですよね。ただ一番効くのは「相手の期待値を超える」ということ。これは部下と上司、お互いの話なんですけど、期待値を超える成果を出すと、信用って増えるんですよ。
で、そのためにはどうすればいいかというと……これは僕が以前から言ってるんですけど、基本的には「納期よりも早く」「たくさんやる」「クオリティを上げる」という3つの方法しかないんです。ただ「クオリティを上げる」のは、本人にスキルが備わってないとなかなか難しいので、若い方の場合は「納期よりも早く」「たくさんやる」の2つを実践するのがいいのではと。
だって、「これ、3日後までにやっといて」って仕事を頼んでおいたものが、次の日に提出されてきたり、「この10個のサイトを調べといて」って頼んだところを20個調べてきたりしたら、「おお、こいつスゲーじゃん」ってなるじゃないですか、単純な話として。この「早く」「たくさん」に関しては、スキルがない人でも頑張りさえすれば、誰でもできますし、何よりも簡単な信用の稼ぎ方として、とてもオススメです。
——では、もうひとつの「スキル」に関しては、どのように高めていけばいいのでしょうか?
シバタ:これに関しては、働き手自身でどうにかなるというのは、特に若いうちは難しい部分があると思うんです。ですから、そこはやっぱり会社側が人事評価などを通じて「次はこういうスキルですよ」「こういうレベルですよ」と、ある程度提示してあげたほうがいい気がします。なかには「若いうちは多少ツラくても仕事を取りに行け」といった考え方もあるんでしょうが、それは教えられる人の性格によるところが大きいと思います。アグレッシブな性格の人間ならばそれも合うでしょうが、そうじゃない人間もいますし。
そもそも日本は、ジョブ・ディスクリプション(職務記述書)があいまいなままで採用して、そのままでその後も働いていくじゃないですか。アメリカではそれは考えられなくて、職務内容がしっかりと決まっている。そうなると、働く側は自分の持ち場がピタリと決まるので、仕事を取りに行くとか行かないっていう話も、あまり意味がない話だったりするんです。もちろん、やる気があってそれ以上のことをやるっていうのはあると思うんですが、少なくとも自分の持ち場は決まってるので、あくまでその中での仕事をする話になるんです。
なのでスキル向上に関しては、働く側の問題というのももちろんあるんですが、それ以上にその人の上司や所属する会社側の問題が大きいんじゃないでしょうか。日本では、ジョブ・ディスクリプションが書けないんですよ。「この人は何をやってる人ですか」っていうのが書けない、きちんと箇条書きで。
じつは、ジョブ・ディスクリプションを正確に書くのは、かなり大変なトレーニングが必要なんです。ただ鍛える方法が一つあって、クラウドワークスとかランサーズといったクラウドソーシングサイトで、上手に人材を採用できるかを試してみるんです。つまりは発注能力を磨くんですが、これがジョブ・ディスクリプションを書く能力と似通ってるんです。
ああいうサイトを利用する時って、何が欲しいかが正確に書ければ、ミスマッチは起こりにくいんですけど、逆に「キレイなデザインください」というように、なんとなくなオーダーをしてしまうと、お互いにズレてしまうじゃないですか。そもそも「キレイ」というものの認識が、お互いに違うわけだから……。だから、ジョブ・ディスクリプションを書く力を鍛えるためには、クラウドソーシングのサイトで練習するのがオススメです。
それができれば、上司と部下のすれ違いとか、「若い社員が身に付けるべきスキルを具体的に提示できない」っていう問題も、かなり減ると思います。「今、何をやってるのか」「次のステップは何か」っていうのが、かなり正確に言語化できるようになりますから。また、そういう風にやっておけば、働く側としても後々他の会社に移る時に、「私はこういうことをやってました」っていうことが明確に言えるようになると。そういう意味でも、双方にとてもメリットのある話だと思いますので、ぜひ皆さんに実践して欲しいですね。
シバタナオキ 著『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』