昨年10月に行われた中国共産党大会の演説で、習近平国家主席が盛んに「祖国統一」を訴えたことなどから、世界各国で「中国の台湾侵攻の可能性」が囁かれています。当の台湾出身の評論家・黄文雄さんはどう見ているのでしょうか。黄さんは自身のメルマガでこれまでの台中関係を振り返るとともに今後の中国の動きを予測、さらに「中国の台湾侵攻」の先に控える日中衝突の可能性についても言及しています。
※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2018年1月23日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め1月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。
【中国・台湾】2020年までに中国が台湾侵攻する可能性
今回は、欧米などでも囁かれている、2020年の中国の台湾侵攻についてです。去年10月に、中国で5年に1度の共産党大会が開かれた際、習近平は3時間を超える大演説を行いました。そのなかで、「祖国統一」を何度も訴えたことはこれまでも述べてきました。
ちなみに、このとき中国では、幼稚園児から老人までの多くの人々がテレビの前で習近平の演説を強制的に聞かされました。幼稚園児にとって3時間じっとしていることは拷問も同然です。そこで、以下のような笑えない冗談のような逸話があったそうです。
幼稚園の子どもたちが家に帰って親に訴えた。「今日、先生はクラス全員に罰として午前中全員を座らせて、お話を聞かせたんだ。動いちゃいけないし、トイレにも行けない。お昼ごはんも食べられなかった。みんなどんな悪いことをしたのか、分からない」
● 習近平の言論統制を、中国のネット市民たちは「冷笑」している
それはさておき、習近平を神格化するための手段のひとつとして、2020年までの台湾統一が囁かれています。そのための布石もすでにいろいろと打っているという記事もありました。
上記の記事によると、中国では台湾や香港などを国扱いした外資系民間企業に対し、中国政府が謝罪を強制しているということです。被害者である企業は、世界でも著名な企業ばかりです。例えば、米国系大手ホテルチェーン・マリオットインターナショナル、米デルタ空港、スペインのアパレル大手ZARAなどです。謝罪を強要された企業は、中国市場を失いたくないがために、言われるがままにこぞって謝罪しているそうです。