「高齢で身体の負担が心配」「足が不自由」などの理由で葬儀に参列できないという人々の増加を受け誕生したサービスが、にわかに注目されています。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者でMBAホルダーの青山烈士さんが、日本初のドライブスルー葬儀が話題を呼んでいる「D&Aコンサルティング」の戦略・戦術を分析しています。
顧客のその先の利用者のニーズまで考える
ドライブスルー葬儀で話題の企業を分析します。
● D&Aコンサルティング(ドライブスルー型の葬儀システムの販売)
戦略ショートストーリー
葬儀会社をターゲットに「特許を取得した独自のシステム」に支えられた「車に乗ったまま焼香できる」や「焼香にかかる時間は約3分」等の強みで差別化しています。
日本初のドライブスルー葬儀を導入した葬儀会社は、特に、高齢者や介護を受けている方、足の不自由な方から支持を得ています。
■ 分析のポイント
顧客のその先の利用者のニーズまで考える
多くの企業は、当然ですが、自社の顧客のことを意識してビジネスをしています。顧客から継続的に選ばれなければ(必要とされなければ)企業が存続することは難しいですからね。
それは、BtoCのビジネスでも、BtoBのビジネスでも共通です。しかし、BtoBの場合、その先のCまで意識することが重要です。いわゆる、BtoBtoCですね。はじめのBに求められることは、いくつかありますが最もわかりやすいのは、顧客となる企業の強みを強化すること、つまり、顧客企業の提供価値向上への貢献です。
より具体的に言うと、顧客となる企業が提供している商品やサービスが自社の商品(サービス)を使うことでより消費者から選ばれる(必要とされる)ようになるということを実現するわけです。
今回の事例でいうと、顧客となる葬儀会社が「ドライブスルー葬儀」を導入することで依頼主である喪主となる方から選ばれるようになる、といった流れになります。今回のポイントは、顧客となる企業の提供価値を高めるには、その顧客となる企業にとって、ターゲットとしている消費者のニーズをつかむことが重要な要素になるということです。
D&Aコンサルティングを設立した「竹原重建」は、足の不自由な方など葬儀に行きたくても行けない方の存在を知り、その問題の解決策として、ドライブスルー葬儀を開発したわけですが、これが、顧客企業の提供するサービスの価値を高め、顧客企業のサービスを利用する方のニーズを満たすものだったからこそ、導入を希望する企業が出てきているのでしょう。利用者のニーズを理解し、常識にとらわれない姿勢がこのサービスの開発につながったのだと思います。
「ドライブスルー葬儀」については、賛否両論あるようですが、少なくとも、葬儀に行きたくても行けない方にとっては、問題解決につながる一手段になっています。現在の高齢化社会において、平均寿命が延びているということは、亡くなる時の年齢が高くなるということですので、恐らく、参列される方の年齢も高くなっていくことが想定されます。そのような状況の中で、「ドライブスルー葬儀」の必要性は高まっていくように思いますが、今後、「ドライブスルー葬儀」がどのように拡がっていくのか、文化として定着していくのか、注目していきたいです。