先日掲載の記事「トランプ大統領が右腕「バノン首席戦略官」をクビにした皮肉な理由」で詳しくお伝えした、バノン氏の電撃解任説。あれから約4カ月、彼はどこで何をしているのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者の北野幸伯さんが、バノン氏の現在の様子を伝えるとともに、その行動により「アメリカに起こりうる変化」について考察しています。
バノンは、中国の「体制転換」を目指す?
皆さん、スティーブ・バノンさんを、覚えておられますか? 1年前、彼は「トランプを勝利に導いた男」「トランプの黒幕」と呼ばれていました。今年1月にトランプが大統領になると、彼は「首席戦略官」に任命されます。しかし、彼は、政権内で徐々に孤立していきました。そして、8月には、辞任に追いこまれています。バノンさんはその後、ブライトバート・ニュースの会長に戻りました。
過激な発言で注目されたバノンさん。良い点もありました。彼は、「アメリカ最大の脅威は、中国である」とはっきり認識している。8月17日付 AFP=時事 に彼の言葉が載っています。
米政権内で対中貿易における強硬路線を主張する自身の闘いに言及し、北朝鮮問題での誠実な仲介役を中国に期待するというわなに陥ってはならないとして、「われわれは中国と経済戦争の最中だ」「われわれのどちらかが25~30年後に覇権を握る。このまま行けば彼らの勝ちだ」などと持論を展開。北朝鮮問題も「彼ら(中国)がついでにわれわれをつついているだけだ。一つの前座に過ぎない」と語った。
短いですが、非常に重要なことを話しています。まず北朝鮮問題について。
「中国に誠実な仲介役を期待するな」
「中国がわれわれをつついている」
つまり、「北朝鮮問題の黒幕は、中国だ!」と主張している。そして、バノンさんは言います。
「われわれは中国と経済戦争の最中だ」
「われわれのどちらかが25~30年後に覇権を握る。このまま行けば彼らの勝ちだ」
そう、バノンさんは、「中国こそが主敵であること」を、おそらく誰よりもはっきり認識している。一方、クシュナーさんは、ビジネスのつながりがあるため、ここまで中国に強硬になれない。中国は、バノンさん解任を大いに喜んだことでしょう。