以前掲載の記事「中国による『インフラ投資』のインチキに気づいた各国から非難の声」では、「札束外交」を展開する中国のあまりの身勝手ぶりに各地でトラブルが頻発している事実をお伝えしましたが、ここに来て親中国・同盟国も次々と中国を見放し始めているようです。なぜそのような事態に陥ってしまったのでしょうか。台湾出身の評論家・黄文雄さんは自身のメルマガで、「野心と下心しかない習近平政権にそれらの国々がようやく気づき警戒し始めたのでは」と推測しています。
※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2017年12月7日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。
【中国】同盟国からも見放されはじめた「一帯一路」
● 中国の「一帯一路」がピンチ? 大型プロジェクト取り消す国が相次ぐ
パキスタン、ネパール、ミャンマーが、中国が計画していた大規模水力発電所3カ所の事業中止を発表しました。報道によれば、これは総額200億ドルにもなる大型プロジェクトだそうです。
パキスタンはインダス川流域のディアメル・バハシャダム建設に中国が提供を申し出ていた資金140億ドル(約1兆5,754億円)の受け入れを拒否したとされています。インダス川はチベット高原を水源とし、その90%以上がパキスタン領内を流れています。
パキスタンの穀倉地帯を流れる貴重な水の供給源であり、これを中国に握られることは、国の死活問題にかかわります。さすがにこれを受け入れるわけにはいかなかったということでしょう。
ネパールは25億ドル(約2,813億円)規模の水力発電事業について、合弁相手の中国企業が「重大な財務違反を犯した」として事業取り消しを決定しました。財務違反の内容は明らかではありませんが、考えられるのが汚職問題でしょう。中国では汚職は当たり前ですから、相手国の官僚へのキックバックがバレた可能性があります。
また、当初は低い予算で落札したものの、あとから理由をつけて、工事料金の上積みを要求するということも、よく行われています。それが無理だとわかると、途中で工事を放り出して、逃げ出してしまうことも多々あります。2004年頃から中国はフィリピン・マニラ首都圏の鉄道整備への無償資金協力を提案してきましたが、結局、工事の中断が相次ぎ、中国は途中で放り出してしまいました。そのため、その後処理は日本のODAで進められました。
中国が日本からもぎ取ったインドネシアの高速鉄道(ジャカルタ―バンドン間)も、工事が大幅に遅れているため、最近では計画を白紙に戻すべきだという声が再び高まっています。
●【インドネシア】残骸放置リスク拡大・中国高速鉄道に疑問の声! ジャカルタ―バンドン
ミャンマーも「大型水力発電所には関心がない」と表明したといいますが、もともとミャンマーでは中国資本によるミッソンダムの建設が、環境を破壊するという理由で現地住民から反対されてペンディングになっています。