現在の「大学入試センター試験」に代わり、2021年1月に導入される「大学入試共通テスト」。これまでのマークシートに加えて記述式問題も出されるなど大きく変化するのですが、公平性等は担保されるのでしょうか。今回の無料メルマガ『親力で決まる子供の将来』では著者で「ドラゴン桜」の指南役としても知られている親野智可等さんが、公開されているモデル問題例や各種報道などを総合しその数々の問題点を指摘するとともに、「入試改革よりも先にすべきこと」を記しています。
「大学入試共通テスト」で本当に改革できるのか? 記述式を増やして大丈夫なのか?
間もなく大学入試の方法が変わります。それまでの「センター試験」に代わって「大学入試共通テスト」が行われます。今年度・2017年度の中学3年生から新しい大学入試に臨むことになります。
「なぜ、どのようにかわるのか」という主旨は、「高大接続システム改革会議『最終報告』」の冒頭に、次のように書かれています。
新たな時代に向けて国内外に大きな社会変動が起こっている中、多様な人々と協力しながら主体性を持って人生を切り開いていく力が重要であり、知識の量だけでなく、混とんとした状況の中に問題を発見し、答えを生み出し、新たな価値を創造していくための資質・能力が一層重要になる。
私なりに平たく要約すると次のようになります。
「これからの時代、もちろん知識も大事だけど、主体性を持って人生を切り開いていく力が非常に重要だ。つまり、問題を発見し、答えを生み出し、新たな価値を創造していくための力だ」。
以下、この件についての概略と私見を書きます。
大学入試は具体的にどう変わるのでしょうか? まず、特に大きく変わる英語から見ていきます。
センター試験では「読む・聞く」の2つだけでしたが、新たに「書く・話す」も加わります。これは、グローバル社会における実際のコミュニケーション能力を重視するためです。当然、小・中・高校の授業でもこららが重視されるようになります。
入試の実施においては、マークシート式ではテストできないので、英検やTOEICなど民間の試験を活用するという形になります。
次に、国語と数学ですが、内容的には、それまでの「知識・技能」偏重の入試から、より「思考力・判断力・表現力」を評価する入試に変わります。
具体的には、マークシート式と合わせて記述式問題が出ます。国語では、古文と漢文を除く国語総合で、80~120字程度で解答する記述式問題が3問程度出ます。数学では、「数1」「数1・A」で数1の範囲の3問程度が出ます。
試験時間も長くなり、国語は現行の80分から100分程度に延長され、数学は60分から70分程度に延長されます。