どこにも真似できない京都の風情ある町並みは、住民の努力と市の厳しい規制により大切に守られています。しかし、そんな京の町でここ数年、悪い意味での激変が起こっているのだとか。今回のメルマガ『高城未来研究所「Future Report」』では著者で世界の観光事情にも詳しい高城さんが京都から「外国人向け闇ビジネス」の実態をリポートするとともに、観光大国を目指す日本の未来を占っています。
世界有数の観光都市・京都でいま起きていることは、近いうちに日本全国で起きる
先週は、京都にいました。
年間通じた京都の観光ピークは、紅葉目当てに訪れる人々が多い先週と、続いて桜のシーズンの4月、そして7月の祇園祭とバランスよく分かれているため、多くのゲストを呼び込むことに成功しています。
まるでディズニーランドのように年々過剰になる、神社仏閣の紅葉ライトアップの良し悪しは趣味の分かれるところでしょうが、数字を見ると、世界有数の観光都市に成長した京都を訪れる人は、3年連続で年間5500万人を突破。
宿泊客は1500万人に登り、外国人宿泊数も320万人と過去最高を記録していますが、実は、この数字には民泊施設での宿泊客数は含まれていません。
増大する民泊により、年間で最大の宿泊客を獲得できる今週紅葉時の旅館の稼働率は、著しく落ちているのが現状です。
町家の入り口を見ればわかりますが、古い建物に不釣り合いな新型ナンバー式のオートロック装置が取り付けてあれば、まず間違いなく、不特定多数が出入りする「闇宿泊施設」で、近隣住民とトラブルも続出しています。
今週、京都商工会議所は、京都市に悪質な施設への監督・指導を強化するよう正式に求めました。
また、来年6月に施行される「住宅宿泊事業法」(通称:民泊新法)前に、京都市は独自の条例案として、宿泊者の本人確認を行うなどの規制を実施する予定で、これにより、事業者に宿泊者名簿の備え付けを義務づけますが、市はもう一歩踏み込んで、前もって地元住民に民泊が行われる日時や緊急連絡先などを開示するよう事業者に求める意向を示しています。
しかし、このような施策が功を奏するでしょうか。