11月10日、昭和29年創業の「幸楽苑」が52店舗の閉鎖を発表しました。同店は、不採算店の一部を先頃フランチャイズチェーン契約を結んだ「いきなり!ステーキ」へ転換することで活路を見出すことに。なぜ幸楽苑はここまで追い詰められてしまったのでしょうか。そして同社は「いきなり!ステーキ」との提携で再浮上することが出来るのでしょうか。無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』の著者・佐藤昌司さんが詳細に分析するとともに、幸楽苑の建て直しに何が必要なのかを探ります。
幸楽苑が不振で52店を閉鎖。「いきなり!ステーキ」に助けを求める
ラーメンチェーン「幸楽苑」を展開する幸楽苑ホールディングス(HD)は11月10日、全店の1割弱にあたる52店を閉鎖すると発表しました。
全国32都道府県に出店していますが、採算が合わない店舗を閉鎖し、出店エリアや出店形態などを見直す方針です。
不採算店舗の閉鎖に伴い、5億3,000万円の特別損失を計上しました。これにより、同日発表した17年4~9月期の連結決算の最終損益は6億4,000万円の赤字(前年同期は5億6,000万円の黒字)となっています。
また、18年3月期通期の業績見通しを下方修正しています。連結売上高は409億円から388億円に引き下げました。営業利益は8億7,900万円から大幅に引き下げ、2,000万円としています。最終損益は2億円の黒字から一転、6億7,400万円の赤字に転落する見込みです。
業績が好調に推移している、ラーメンチェーン「日高屋」を展開するハイデイ日高とは対照的です。
ハイデイ日高の17年2月期決算は、売上高が前年比4.7%増の385億円、営業利益は5.3%増の45億円、純利益は5.7%増の29億円です。順調に収益を伸ばしている状況です。
一方、同年度(16年度)の幸楽苑HD(17年3月期)の売上高は前年比1.0%減の378億円、営業利益は83.1%減の1億4,700万円、純利益は16.0%増の1億5,400万円です。収益は停滞状況が続いている状況です。
両社の売上高は同レベルですが、利益に関しては雲泥の差があります。16年度の幸楽苑HDの売上高営業利益率と売上高純利益率はそれぞれわずか0.4%に過ぎません。一方、ハイデイ日高の同年度の営業利益率は11.9%、純利益率は7.6%にもなります。利益率では両社の間に大きな開きがある状況です。