読者からの相談に親身に答える“Q&Aコーナー”も人気なメルマガ『石田衣良ブックトーク「小説家と過ごす日曜日」』。今回ご紹介するのは、自分の娘への感情をコントロールできずに悩む母親からのご相談。……気になる石田さんの回答は如何に?
私は自分の娘が好きじゃありません
Question
私は自分の娘が好きじゃありません。ハッキリ言って嫌いです。娘は今、高校生です。嫌いな理由は、娘が部屋を片付けないこと。尋常でないくらい荒れていて、部屋中がゴミ箱、あるいは豚小屋のようです。生まれたときからすごく可愛がってきた娘ですが、今は憎らしくてたまりません。こんな私は異常ですか?
石田衣良さんの回答
家族の中で、それこそまったく他人のように性格が合わないことなんてザラにあるんですよ。なので、今娘さんが荒れているのはしょうがないと思います。高校生ぐらいって一番荒れる時期でもありますし。ただ、ひとつ気になるのは「生まれたときからすごく可愛がってきた」という一文です。たぶんその可愛がり方に問題があったと反省はしたほうがいいんじゃないですかね。
多くの母親が、うんとかわいがることでその子を支配しようとするんです。「こういうものを着るほうがいい」「女の子はこうすべきだ」「学校ではこういうふうにしなさい」と言って、ずっとコントロールしてきたのではないですか? それを娘さんが嫌になって、自分なりに新しい生き方を探そうとしている最中だと思うんです。その過程で部屋が散らかったり生活が荒れたりしているということだと思います。でも、そういう時期がないと、人として自立できないですよね。
あなたは、娘のことがずっと大好きでいられる代わりに、何かを決めるたびに母親の顔色を伺うような、自立してない人間にしたいですか? それとも、少々問題を抱えていても、自分で自分の人生を決められる大人の女性にしたいですか。それを考えたら、今のままでもぜんぜん悪くはないと思います。外側から見ていれば当然のことです。
別に好きになることも嫌いになることもないけど、ひとこと言ってあげればいいと思いますね。「どんな人生を選ぶにしても、私はあなたの味方だから。好きではないけれど母親としての責任は考えている」ということを言って、後は突き放せばいいんじゃないですか。あなたと娘の関係を深く見直した上で、嫌いになるなり、責任をとるなりすればいいんですよ。
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