バイトにも「健康診断」の権利。意外と知らない労働法のジョーシキ

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「就業規則は会社を大きく発展させ、働く人たちの幸せに直結する」という社会保険労務士の飯田弘和さんが毎週有益な情報を届けてくださる無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』。今回は企業に義務付けられている「健康診断の定め」について解説しています。

御社の就業規則には、健康診断の定めはありますか?

御社で人を雇う場合、「採用時」と「1年に1回ごと」の健康診断を行わなければなりません。これは、労働安全衛生法に定められている、会社(事業者)の義務です。この健康診断の費用は、会社が負担しなければなりません。

この法律では、労働者に対しても、健康診断の受診を義務付けています。ですから、労働者が、健康診断の受診を断ることはできません。ただし、会社(事業者)が指定する医師の受診が嫌であれば、労働者自ら健康診断を受診して、その結果を会社に提出する方法でも構いません。この場合の健診費用まで会社が負担する義務はないと考えられています。

健康診断は、正社員はもちろん、パートやアルバイトの方でも、1週間の所定労働時間が「通常の労働者(主に正社員)の4分の3以上」の人には実施する必要があります。

法人であれば、健康保険・厚生年金保険の加入対象者には、定期健康診断の実施が必要です。

また、深夜業(1ヶ月に4回以上の深夜業従事者)や特定の危険・有害業務に就いている従業員に対しては、6ヶ月に1回ごとの健康診断を行わなければなりません。

従業員に長時間の残業をさせた場合には、会社(事業者)には、新たな義務が生じます。ザックリ言うと、1ヶ月に100時間以上残業させたら、その従業員が申し出た場合、「医師による面接指導」を行わなければなりません。

以上の健康診断と面接指導の結果は、5年間保存しなければなりません。

また、健康診断や面接指導の結果によっては、作業場所や労働時間の見直し・変更を行うなどの措置が必要です。

今年の12月1日から、「ストレスチェック制度」も開始されます。合わせて、就業規則に定めておくべきです。

以上を踏まえて、あらためてお聞きします。

「御社の就業規則には、健康診断の定めはありますか?」

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