9月末に行われたドイツ総選挙で、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の躍進を押さえ、辛くも4期目の政権を死守したメルケル首相。しかしメルケル氏は選挙戦勝利のため、「シリコンバレー帝国崩壊」につながる法律を推し進める立場を取らざるを得なくなったと記すのは、メルマガ『高城未来研究所「Future Report」』の著者・高城剛さん。高城さんが「世界を分断する」というこの法律、一体どのようなものなのでしょうか。
ドイツ極右政党の躍進で起きる「シリコンバレー帝国の崩壊」
今週は、ドイツ選挙で極右政党が躍進したために起きる「シリコンバレー帝国の崩壊」につきまして、私見たっぷりにお話ししたいと思います。
史上2番目位の低い得票率で4期目を死守した独メルケル首相は、競合だった第二党PDS(民主社会党)のトップで欧州議会議長だったシュルツがEUで取りまとめていた「GDPR」を、当初は「やりすぎだ」と酷評していましたが、急速に伸びる極右政党に押されないよう国内の強力支援者の票を取りまとめるため、最終的には「GDPR」をさらに推し進める立場を取らざるを得ませんでした。
この「GDPR」とは、来年2018年5月25日からEUで施行される「欧州一般データ保護規則」(General Data Protection Regulation)を指します。
「GDPR」は、文字通り、データ保護に関する法律です。これにより、サイバー犯罪の悪質化、スマートフォンやIoTによる通信における秘匿情報の増加などの現況を踏まえ、個人に関する情報を集め処理する業者に対して、さまざまな義務や罰則が課せられるようになります。
噛み砕いて簡単にお話しすれば、グーグルやFacebookが、世界中の個人情報を半ば勝手に収集し、広告主に売り渡すような行為を厳禁とする法律です。そのため、欧州内のインターネット(の道徳や社会)を、グーグルやFacebookがまだ登場していなかった1995年まで戻すと明言しています。これが「GDPR」です。
さらに言えば、インターネット上における欧州の外堀に「壁」を建て、データを一切持ち出せないようにする法律なのです。