日常生活の中に潜んでいる科学ネタを、自称・不良科学者のくられさんが毎回わかりやすく紹介してくれる、無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』。最新号では、男性なら「美人だなぁ」、女性だと「イケメン♪」と思わず見とれてしまうような、異性に対する“美意識”について徹底解説しています。
男性から見た美人、女性から見た美人
美人になりたい、イケメンになりたい。ただし美人に限る、ただしイケメンに限る。
顔が良いと、なにかと得なことが多いのも事実です。顔の良い人は、総じて「そんなことないよ」といいますが、それはともかく美人は贔屓されます、イケメンは第一印象最高です。
さて、その美とはなんでしょうか。
花や宝石、風光明媚な景色にまで表現され、さらに大半の言語に「美しい」という言葉が存在します。つまりは人間が根源的に持っている感覚によるものなのですが、この美しさ、とくに人間自身に対する美しさに話を絞ると、意外と簡単な答えだったりします。
まず、古今東西、美人美形と言われるものは流行り廃りがあり、メイク1つとっても、今風でなければ変な感じではあります。時代によってはふくよかな人がモテることもありますし、痩せぎすが美しいと言われることもあります。短小包茎が美しい時代もあったようです(こっちは容姿じゃないですがw)。
ただそれらに共通しているのは、人間が仲間を認識するときの符号を如何に満たしているかということに過ぎないわけです。
これはどういうことかと言うと、例えば赤ん坊に、目玉を剥いたズルムケのゾンビがギャオーと迫ってくると、ゾンビやお化けというものを認識していない赤ん坊でも大半が泣き出します。一方、美人がやってくるととたんに喜び出すことも知られています。
この差は、人間が種として「正常か異常か」を見分ける能力が備わっているという点からきており、人間ではない、例えばライオンがデーンと居ても、それが恐ろしいかどうかの学習が無ければ、恐怖は感じないわけです。
ズルムケゾンビを怖がるのは、それが程ほどに人間の形を残しているからだと考えられます。つまり、ズルムケ状態の人間は明らかに異常なわけで、そうした異常状態のあるものに好んで近寄ることで、なんらかの悪影響が自分に及ぼされると判断するわけです。
この判断こそ、美意識の基本の1つであり、古今東西の体型、団子鼻、耳たぶが長い方が良いなどの部族的なものも含めて「左右対称性が高いかどうか」がまず評価されています。
故にCG美女の多くは近寄りがたいクラスの美しさ(逆に不気味ささえ感じる)なので、最近では左右対称をすこし崩すようにするのが常識だそうです。美容整形で、手っ取り早く「マシ」になる施術の多くは、まずは「左右平均化」であり、その後でフェイスラインや歯並び、小鼻の形などをどうこうしていくわけです。
ちなみに、その時代の「美形」と言われる顔をCGで平均化すると、実にマイルドで親しみやすい顔になることも知られており、平均的で左右対称な顔というものを好むことで、良い遺伝子を残そうと本能が囁きかけていると言えるのではないでしょうか。
では、目の下に虫でも入っているのかというような涙袋を入れてる人を見ても違和感を感じないどころか、漫画やアニメの明らかに目がでかくアゴの尖った顔を見ても違和感を感じない(それどころか、美しいと感じる)のはどうしてなのか……ということを解説しようかと思います。