「もう出版社は新人を育てない」人気マンガ家が語る厳しい現状

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メルマガ『マンガ家の生活』の配信を始められたばかりの人気マンガ家・鈴木みそさんが、メルマガ読者から寄せられた質問に答える形で、「出版社は新人を育てなくなっている」という業界の現状を語っています。ネットの影響でマンガ家デビューしやすい時代になったものの、食べていける可能性はかなり低くなっているとか。

若い漫画家志望の人はどうしたらいいか

Question

shitumon (2)はじめまして! 知り合いがマンガ家を目指しているのですが、でんしょのはなしを読んで、新人が育っていくのがむずかしい時代になったと思います。

そこでみそ先生、メルマガで、若いマンガ家志望の人はどうしたらいいかご助言をいただけないでしょうか。

何歳くらいまでの人がデビューのチャンスがあるのでしょうか。持ち込みよりも漫画サイトで発表がいいのでしょうか? 漫画サイトもたくさんありますね。そこからコミックスを出した人もいるみたいですね。

お忙しいところ、すみません。メルマガ、毎週楽しみです!

鈴木みそさんの回答

これは最近のイベントで必ず話してることですね。新人は育ちにくくなっている。それは育成システムとしての出版社に余裕が無くなってしまったことが大きな要因。

出版社が新人を育てるというのは、まだ発表できないレベルの新人に、描かせて、アシスタント経験をさせて、ある程度のレベルまで引き上げるサポートをする、ということ。単行本を出せるくらいになったら、育ったといえるでしょう。そういう、コストをかけて育てていくシステムが崩れてきてしまった。もう出版社は新人を育てない。勝手に育つのを待つだけ

ただ、雑誌が少なくなったかわりに、ネット上で発表する場所は増えていて、新人は次々にデビューしてくる。その垣根は非常に下がっているので、そこそこ描ければデビューは難しくない。新人の漫画家の数は昔より増えている、というデータがあります。媒体があれば、描き続けることでどんどん上手になるので、勝手に育っていくと思うが、問題はお金が出ないことです。

自腹で、安い値段(ほぼタダというのもある)で描き続ける。発表はできるけれどお金にはならないという、下北で芝居をやってるお兄さん、みたいなことになります。プロ俳優とは呼べない、役者のタマゴ、くらいですね。

ここから上がるのは、1にも2にも個人の努力と才能と、運。「若いお姉さんはバンドマンと役者には引っかかるな!」とよく言われますが、マンガ家というのも相当怪しい職業になりそうです。誰かの献身的な支え(スポンサードを含む)があって、やっとチャレンジできる狭き門です。

そういうわけで、何歳ならチャンスがあるのか、という意味では何歳にだってチャンスはあります(可能性が低いだけで)。誰かお金を出してくれる人がいれば、何年かやり続けることはできるだろうし、働きながらマンガを描くという道も当然あります。ただ、趣味の世界だと思ったほうがいいと思います。商売でやるには相当難しくなってきました。マンガしかない、それ以外に社会で生きていく方法がない、というような人だけが進む修羅の道です。

や、楽しいお話をするメルマガなのに、なぜこんなに厳しい話をしているのだろう先週、おすすめマンガとして紹介した「ラフダイヤモンド」が3巻で打ち切り、という話を聞いたせいかもしれない。面白いのにねー、実に残念。

えーと、マンガ家いいですよー。満員電車のらなくていいしー、毎日遅くまで寝てられるしねー。とにかく描きましょう。たくさん描いて、絵も話もだんだん作り慣れていく。チャンスが来るまで、それを続けて力を蓄えていくことです。きっと自分には才能がある、と信じて。自分くらいしか信じられないんだから、やるなら信じてあげましょう。がんばって!

さて、ジョギングに行くかー(健康管理が一番大事)。

image by: Shutterstock

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『マンガ家の生活』
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