「やってられっか!」交渉中に相手の態度が急変したときの対処法

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やっと苦労して交渉締結までこぎつけた矢先に、突然相手から交渉決裂ともとれる「ちゃぶ台返し」をされた場合、どうすればいいのでしょうか? 実は、この態度の原因には3つの種類があるようです。様々なメディアで活躍されている弁護士・谷原誠さんのメルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』より、対処法をご紹介します!

締結寸前に態度が急変!どう対処する?

こんにちは。弁護士の谷原誠です。

長い時間をかけた交渉が、様々な条件で合意を見ていよいよ締結寸前。しかし、交渉が佳境に入った状況で、何かのきっかけで相手が態度を急変させ、

「こんな交渉やってられるか!」

と、今までの議論をすべて無にしてしまうような振る舞いをすることがあります。いわゆる「ちゃぶ台返し」です。これをやられると、交渉をまとめるために努力してきた人は驚き狼狽してしまうものです。

売り言葉に買い言葉」で交渉を打ち切ることもできず、そうかと言って、ひたすらに自らの非を認めて譲歩するわけにもいきません。

実は、この「ちゃぶ台返し」は、交渉の場では時折起こること。考えなくてはならないのは、これを防止する方法よりも、そのような行動をされたときにどう対処するかということです。

「ちゃぶ台返し」への対応にはいくつかの段階があります。まず第一には、気にしないことです。「やってられるか」といったセリフがあった場合、そのセリフを「交渉を打ち切り、破談にする」という意味にとらず、

「では、今日はこれで終わりにしましょう」
「ちょっと休憩を入れましょう」

と、意味をポジティブに解釈した上で受け止めます。相手も、契約を締結したくなければその場にいないはずです。こちらが感情的になって「売り言葉に買い言葉」のようにならず、冷静な態度を貫けば、多くの場合、問題は沈静化します。このような対応で事態が好転せず、あくまで相手が交渉をすべて終わりにしようとしているように見える場合は、その態度に至った原因を考え、対応方法を考える必要があります。

ちゃぶ台返しのセリフは、その原因から3種類に分かれます。

1.「感情」で言っている

2.「戦略」で言っている

3.「条件交渉」として言っている

1つ目は人と人の感情的わだかまり。この場合は、何を怒っているのかということを見極め、相手の怒りに共感しつつ、落ち着いて話をし、感情が軟化するのを待ちます。注意しなければならないのは、感情が沈静するまでは、絶対に条件交渉をしないこと。感情問題を条件の問題と取り違えると交渉は失敗します。

私は、弁護士として感情的な相手と数多くの交渉をしてきました。その結果、言えることです。相手が冷静な判断をすることができない状態なので、本当のちゃぶ台返しになって交渉が決裂してしまうおそれがあります。

2つ目は、より良い条件を引き出すため、戦略的に破断をちらつかせている場合です。そういう時は、こちらも同様に「それでは終わりにしましょう」という態度を見せるのが有効です。そう出られると、今度は相手が動揺する番です。そして、そのままでは本当に交渉が終わってしまいますので、目の前の書類をかたづけるなど、帰る用意をしながら、少し話題を変えて「ところで、○○の件は」と話を続けたり、会社に帰ってから、改めて電話してみたりすると、交渉が再開されることが多かったりします。

普段、交渉に慣れてない方には違和感があるかもしれませんが、「交渉を終わりにしましょう」というのは、実は本当の終わりではなく駆け引きで言われることもある、ということを憶えておきましょう。

3つ目は、具体的に納得できない条件が発生したケース。これはある意味わかりやすい理由です。この場合、対案を出さない限りは解決の糸口をつかめません。冷静に相手のニーズを聞いて、こちらの条件と比べて、丁寧に交渉を進めていきます。いずれにしろ、ちゃぶ台返しを過度に恐れていると不利になります。交渉を破談にするオプションはこちら側にもあり、立場は対等です。

落ち着いて対応すれば、それまでに積み重ねてきた合意を崩す必要が発生することは少ないということを覚えておきましょう。

「ばっかもーん!!!」(ちゃぶ台をひっくり返す星一徹)

image by:Shutterstock

 

『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』
人生で成功するには、論理的思考を身につけること、他人を説得できるようになることが必要です。テレビ朝日「報道ステーション」などテレビ解説でもお馴染みで、「するどい質問力」(10万部)、「弁護士が教える気弱なあなたの交渉術」(アマゾン1位獲得)の著者で現役弁護士の谷原誠が、論理的な思考、説得法、仕事術などをお届け致します。
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