巷ではApple Watchが流行ってるけど、そもそも自分のお気に入りの腕時計がスマートウォッチのように使えたらいいのに…。そんな妄想を実現する腕時計が、あのソニーから現れました。しかも開発したのは、このアイデアを製品化するためにソニーに入社した2年目の社員なのだとか。スマホ&ケータイジャーナリストの石川温さんのメルマガがその開発秘話を紹介しています。
FeliCa内蔵のスマート腕時計バンド「wena wrist」
プロジェクトリーダーはソニー入社した2年目社員
ソニーの新規事業創出プログラム「Seed Acceleration Program(SAP)」で面白い製品が出てきた。
腕時計のバンド部分に機能を持たせてしまうという「wena wrist」だ。先月末から、クラウドファンディングを開始しているが、あっという間に目標額を達成。1000万円の目標額に対して、9月5日現在、6000万円以上が集まっている。
バンド部分にバッテリーやセンサー、FeliCaチップなどを内蔵しており、おサイフケータイや通知、活動量計としてログをとることが可能だ。FeliCaに関しては楽天edyやiD、クイックペイなどが利用可能。JR東日本「モバイルSuica」は検証中のようだ。
技術的にはNTTドコモの「おサイフケータイ ジャケット」をベースにしているため、ジャケットがモバイルSuicaに対応すれば、こちらも使えるようになる可能性があるようだ。
wena wristの強みは何と言っても、時計部分は普通のアナログ時計となっている点だ。これであれば、高級腕時計メーカーや有名メーカーが、試行錯誤して、決して格好いいとはいえないスマートウォッチに参入しなくても済む。
老舗の時計メーカーは、自社のアイデンティティを保ち、これまで通りの時計を作りつつ、バンド部分だけはwena wristにしてしまえば、スマートウォッチの市場でも充分に戦っていける。
ソニーとしても、腕時計市場に参入しても、デザインやブランドでどうしても見劣りがしてしまう。しかし、バンド部分に特化すれば、ソニーとしての居場所も確保できるというものだ。
ちなみにwena wristのデザイナーは、もともと日本の時計メーカーでデザイナーをしていて、ソニーに転職してきたのだという。そのため、wena wrist自体も、見た目は普通の時計と何ら変わらない。
IFAの会場で、wena wristのプロジェクトリーダーである對馬哲平氏に取材をすることができた。なんでも對馬氏はソニーに入社して2年目なのだという。しかも「学生時代からwena wristのアイデアを持っており、製品化したくてソニーに入った」という。
そんな心意気を持ってソニーに入社するのも立派だが、その学生を受け入れて、ちゃんとすぐにプロジェクトを任せるソニーも大したものだ。
最近のソニー製品はまだまだ保守的なものが多いような気がするので、是非ともwena wristが事業化され、大ヒットして、ソニー本体を刺激するような存在になってもらいたいものだ。
image by:Sony Corporation