中国は内戦状態に突入した―。こう見るのはメルマガ『高城未来研究所「Future Report」』の著者・高城剛さん。天津で起きた爆発事故も通貨の暴落も、すべてその一端として引き起こされたものであり、近いうちに東アジア全般に火の手が上がるとも分析しています。
新旧の「中国式システム」同士による内戦
今週は、もはや内戦がはじまったとも見られる最近の中国動向につきまして、私見たっぷりにお話ししたいと思います。
今年の6月、汚職裁判で起訴されていた周永康に終身刑が言い渡されました。これがなによりも特異なことは、中国共産党には「政治局常務委員は罪に問われない」という不文律がありましたので、習近平はこれを破ったことにあります。ここから中国の大揺れが、本格的にはじまりました。
いままで罪に問われなかったのでやりたい放題だった政府高官は、このままでは我が身も危ないと察し、習近平に暗殺を試み、事故に見せかけたテロを次々と企てました。その一部は表面化し、また世界的な金融市場にも波及することになりました。いま、反習近平一派は米国の一部ヘッジファンドと組んで徹底的な売りを仕掛け、それが発端となり世界経済が大きく揺れ動いています。
その反習近平一派の中心的人物は、曽慶紅です。曽は江沢民の懐刀で、上海閥の石油利権を一手に握る人物であり、習近平の次の汚職取り締まりのターゲットだと言われています。今回の徹底的な汚職追及により、すでに15万人を超える中国共産党員を腐敗で検挙しただけでなく、経済犯として海外に逃亡した人物数百人を追いかけて逮捕しています。この間わずか1年強。この速度こそが本気の表れだと思います。
習近平は「ハエもトラも退治する」と公言しており、いままで免罪符を持っていたも同然な高官を次々と捕まえています。先月7月30日には、江沢民一派で軍トップである郭伯雄を収賄で党籍剥奪処分しました。郭伯雄は中国国内の映画配給など多くの利権を持ち、また、蛇頭と呼ばれる反社会組織の裏ボスとしても知られる人物です。
このような争いは、習近平一派と江沢民一派の内戦にも見えますが、実際は「古い中国式システム」と「あたらしい中国式システム」の内戦だと僕は考えています。なぜなら習近平一派のなかからも、それなりの数の汚職逮捕者が出ているからで、これは以前もお話ししたように、いまの中国は巨大なシンガポールを目指し、その第一段階のように見えるのです。