2020年に東京オリンピックも控え、今後さらに増えることが予想される外国人観光客。ところが、国内各地の温泉施設でまさに噴出中なのが、“タトゥーをした外国人はどう扱うべきか”という問題。メルマガ『『温泉失格』著者がホンネを明かす~飯塚玲児の“一湯”両断!』の著者で、旅行業界の裏事情に詳しい飯塚玲児さんも、この問題について、これまでの経緯を振り返りつつ、問題提起をしています。
タトゥー・刺青入浴禁止問題のこと
温泉入浴にあたって、表題の件がこのところ大きな話題になりつつある。
話題の内容としては、外国人客(日本人客にも最近は少なくないが)などでファッションとしてタトゥーを入れている場合(ミュージシャンやスポーツ選手にも多い)や、先日北海道で問題になったマオリ族の女性と同様に伝統や宗教上の理由でタトゥーを入れている場合、などを、十把一絡げに温泉から閉め出すのはいかがなものか、ということである。
実はこの問題、僕が編集をお手伝いしている双葉社刊のムック『温泉批評』2014年秋冬号で大きく取り上げている。
この話題がここまで一般的に話題にされるようになったのは、この特集の影響が非常に大きいと思っている。同誌に関わっているものとしては、そのような自負もあるし、実際に、この記事のあと、連続して社会的な問題として取り上げられるようになってきたと思う。
そもそもの発端は、脳科学者の茂木健一郎氏がツイッターで「海外ではタトゥーの人が普通にいるのに、日本の入浴お断りはおかしいし差別だ」という内容をつぶやいたことだろう。2014年6月にはこうつぶやいた。
「ワールドカップサッカーを見ていると、タトゥーをしている選手なんて、普通にいる。タトゥー、刺青は入浴お断り、という不当な差別をしている限り、日本の温泉の世界遺産登録は無理だね」
むろん『温泉批評』の記事ではこうした茂木氏らのツイートなども盛り込み、さらに業界団体や温泉施設などへの取材も行って記事を構成している。バックナンバーも入手可能なので、興味のある方はアマゾンなどでご購入を。
雑誌発売後の業界内の一つの大きな動きとして挙げられるものに、今やイケイケ状態ともいえる星野リゾートが、タトゥーを隠すために貼るシールを導入、隠せる場合は入浴を認めるという試みを始めたことだ。