叩きすぎの件
画像の盗用はマズい。トレス発見厨が跋扈する世の中では、特にヤバい。どんな下っ端デザイナーも肝に銘じて仕事するべきだ。
アートディレクターが部下の管理をしくじったのなら、謝罪して当然。デザイナーは「名前が冠されるアートディレクターの名誉に傷を付けないように」って万全を期してやるものだろうけど、そこが崩れてた落ち度は彼にある。
で、この件で最もガッカリしたのは、まさかと思ってた人までがすっかり釣られてしまって叩きに加わってること。
氏と「同類」に見られたくないための過剰反応かもしれないけど。マスコミまでがおもしろおかしく紹介してるし、「今回のオリンピックは何でも叩き放題ですよ~!」って共通認識になっちゃったらしい。
この騒ぎの最初の頃に「面白半分で叩きまくって自殺に追い込むようなことが(たとえ罪を認めたとしても)正義とはまったく思わない」と書いた。謝罪を経て、さらに勝ち誇ったように叩きまくる彼らはいったいどうなってるんだ? もうなんともならん。
なんちゅうか、ここまでくると佐野氏の件はどうでもよくなってて、大勢の人が安全な場所から個人を叩き続けて、恥ずかしいとも思わない風潮が嫌すぎ。
日本社会やオリンピックのためを思ってなのかもしれないけど、理由があるから叩いて可とはならない。連続通り魔殺人とかの犯人だって、無制限に叩いていいわけないよ。有名犯罪者の家族がどうなるか知ってるでしょ?
「民度が低い」としか言いようがない。足元の地面が崩れていく感じ。それに、落ち度がなくとも自分も叩かれる側になるかもという恐怖。騒いでる大半の人にこの恐怖はないだろうけど、それが「安全圏から叩く」なのだ。
思い出したけど、日本人はそんなことしないよなあ! って思った映画の場面。一つはタイ製のウルトラマンがテレビで紹介されたとき、ウルトラ兄弟たちが無抵抗状態の怪獣を代わる代わる袋叩きにする場面。
もう一つは、映画「空軍大戦略」で、乗員がほとんど全滅状態になって煙を引きながらよろよろ飛んでるドイツ軍の爆撃機He111を、主人公たちのスピットファイア戦闘機がやはり代わる代わる蜂の巣にしてヒャッハー! の場面。
……それはとても違和感があり、恥ずかしいことだと思ってた。
ただ、この袋叩きに気持ち悪さを感じてる人たちも多いことがわかってきて、ちょっと安心した。