(初出のタイトルより変更させて頂いています。
事態収拾の糸口がまったく見えない、佐野研二郎氏による五輪エンブレムのパクリ疑惑問題。とくに、佐野氏と立場的に同じである“クリエイター側”の人間にとっては、いろいろと考えさせられるテーマのようで……。イラストレーター・吉井宏さんも、メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』で、その偽らざる心境を激白しています。
なぜ僕がこんなにダメージ受けたのか?
佐野氏叩きを自分が叩かれてるように感じてしまった僕も極端かもしれんけどw そのへん考えてみた。
オリンピックが東京に決まったとき、まっ先に思ったのは「マスコットキャラクターを僕がやれたら最高だなあ!」ってことだった。コンペの話が舞い込むのを期待したってバチ当たらないでしょ?
……誰がマスコットやるんだろう?
佐野研二郎氏は、僕にとってグラフィックデザイナーとしてではなく、キャラクターデザイン関連の本や雑誌の特集で、SUICAペンギンの坂崎千春氏とかと並んでまっ先に出てくる、キャラクターを作って使いこなす第一人者のひとり。
だから、オリンピックのマスコットは佐野氏のような有名デザイナーか、村上隆氏や奈良美智氏のようなアーチストがやるんだろうな……と、なんとなく思ってた。
で、新国立競技場の件でゴタゴタになってるうちに、マスコットキャラクターの件なんてすっかり忘れてた。
そこへ「エンブレムが佐野氏で決定」というニュース。僕にとっては「斜め上」w 完全に意表を突かれた。マスコットキャラクターより格上(語弊があるw)のエンブレムとは! すげーすげー!
それで、僕の勝手な思い込みが発動したのだ。「佐野氏は僕の夢を斜め上で実現した」→「佐野氏の立場になりたかった」→「佐野氏=僕」w
ところが、ベルギー劇場ロゴ以降の騒ぎはご存じのとおり。なにしろ「佐野氏=僕」だから、そりゃダメージ来るわ。あらゆる攻撃がズシンズシンと、全部僕に来たw
いちおう、知人でもない当人を直に擁護するつもりはなかったけど、「その決めつけは不当だ」「行きすぎた個人攻撃やめてー」を中心にFBで主張していたのだが、わかんない人にはまったく届かない。それで疲れちゃったんだな。
一番大きかったのが、何を作ってもどこからか似たものを探し出されてパクリと決めつけられる恐怖。創作意欲なんて吹き飛んでしまう。
もうひとつ。「オリンピックエンブレムに採用」っていう、デザイナーとして考え得る限り最上級の栄誉と引き替えに、あることないことあれこれ引きずり出され、ネットやマスコミにおもしろおかしく袋だたきにされ、訴訟沙汰にまで広がる……。
マスコットキャラクターの作家にも同じ運命が待ってると思うと、怖ろしい。家族や周囲にまで被害が及ぶ。栄誉を栄誉として受け取れなくなる。ぜったい無理、そこまでの目に遭うなら辞退したいw オリンピック関係なく、大きな仕事をすると地獄がもれなく付いてくるんだ……などなど。
……以上、ダメージの大半は被害妄想と自覚、妄想由来の被害者気分に浸ってるアホらしさに気がついたので、たぶんもう大丈夫w