これまで数回に渡り、世界に誇る技術を持ちながら一般的にはあまり知られていない「国内の小さな世界一企業」を紹介し続けてきた無料メルマガ『Japan on the Globe-国際派日本人養成講座』。今回も世界トップレベルの技術を持つ中小企業を取り上げながら、それらの企業の根底に流れる共通点を考察しています。
「小さな世界一企業」1000社
経済産業省の内部資料によると、日本には世界シェア・トップの中小企業が100社以上あるという。さらに政府系金融機関が把握している世界トップレベルの技術を持つ企業を含めると、1000社を超えるという推計もある。
弊誌では、今まで、瀬戸大橋やスカイツリーなどで使われている「絶対ゆるまないネジ」を開発したハードロック工業(社員50名弱)、100万分の1グラムの歯車を作った樹研工業(70名)、痛くない注射針を開発した岡野工業(6名)を紹介してきた。
近年はエレクトロニクス分野ではソニーやパナソニックなどが一時ほどの存在感を失い、アップルやサムスンなどにお株を奪われたように見えるが、これらの外国企業も部品レベルでは多くの日本企業に頼っている。
自動車分野はトヨタを代表に日本企業が世界をリードしているが、それも日本の優れた自動車部品メーカーの力による所が大きい。逆に欧米メーカーが日系部品メーカーを使って追い上げを図っている。
エレクトロニクス、自動車などは売上げ規模も大きいので大企業でないと取り組めないが、グローバル化の時代には部品・材料を供給する中小企業が世界のマーケットで勝負できるし、かつ本格的な技術革新は部品材料から生ずるものが多い。
こういう意味で、日本に1000社もの世界トップレベルの中小企業が存在するという点は、我が国の財産である。今回は、いくつかの小さな世界企業を取り上げて、それがどのように誕生し、成長したのか、見てみよう。