「ロボット兵器が戦争に使われる」…まるで映画の中だけのような話が現実になりつつあるようです。では、人を殺すために開発されたロボット兵器を実際の戦争に投入すると、戦死者は今まで以上に増えることになるのでしょうか。映画『シン・ゴジラ』で軍事考証を担当した、メルマガ『異種会議:戦争からバグパイプ~ギャルまで』の著者・カトケンさんこと加藤健二郎さんは、世界的に懸念の声が挙がっている「自立型ロボット兵器」の危険性について考察しています。
【Q】:ロボット兵器が投入されると、戦争全体の戦死者は減ると思いますか? 増えると思いますか?
【A】:ロボット兵器の製造技術が広範囲に拡散した場合、戦死者は増え、戦闘地域は広範化すると思います。
ロボット兵器で戦死者増減論
自律型ロボット兵器の危険は「核兵器より大きい」「北朝鮮をはるかに上回るリスク」との見方が、AIに携わる各国の企業の創設者116人から出されている。
というわけで、自律型ロボット兵器が通常兵器として戦場に大量に投入された場合、生身の人間の戦死者は増えるのか減るのか、という話になった。元戦場屋として、カトケンの思いついたことを述べてみることにしてみよう。
「戦争は悪いこと、戦争は無いほうがいい」と叫ばれつつも、人類の長い歴史で、戦争は繰り返され続いてきているのは、戦争に大きな魅力があるからだとおもう。カトケン自身がその魅力に憑りつかれて15年間も戦場野郎をやってしまっていたわけだし……。
とはいえ、では戦争を実際にやってしまおう、と行動に出てしまうタイプの人は、全人口の0.05パーセント以下と思われる。この「0.05パーセント」という数字は、カトケン自身が戦争当事国を見て歩いたことからのイメージで、戦争に直面していない日本では、もっと低い数値でしょう。
そして、世界の紛争国を見てゆくと、全人口の0.1パーセントが武器を持って立ち上がると、その国は内戦状態となり、全人口の0.3パーセントが反政府ゲリラ兵士になると、政権はひっくり返る(=革命)かもしれない無政府状態となる。日本におきかえれば、0.3パーセントは36万人、0.1パーセントは12万人だ。「おお、そんなにゲリラやテロリストが活動したら、大変な人数だ」とわかっていただけるであろう。